駒澤大学 大学案内2017
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最近の科学技術の進化を見ると、確かに、人間の労働や中小の町工場は、コンピュータ制御の大規模工場に駆逐されてしまうと思いがちですよね。しかし、IT技術や機械は万能ではありません。マザーマシンの法則(学問的には母性原理といいます)というものがあります。これは、「機械は自分の能力を超えた新しい機械を作ることはできない」というもの。では、どうするのでしょう。そう、人の手で作るしかありません。大規模工場では、同じものを大量に間違いなく作る技術が蓄積されています。これは機械の得意分野です。しかし町工場や地場産業では多品種・少量生産を行うため、常に工夫や新しい発想が生み出されています。人間の技能が主役です。こう見ると、自動機械に見られるデジタル技術と人間が主役のアナログ技術は、対立関係ではなく、役割分担に基づく相互依存関係にあります。自然界で生物多様性が大切なのと同じく、持続可能な経済社会を築くためには、予測できない事態に対応するための多様な生産・経営形態が不可欠なのです。IT技術やロボットが進化すると町工場や地場産業はどうなるのでしょうか?Q:A:Q:A:お店に行って、同じ商品がいつもより値引きされていると、得をした気分になりますね。このように思うのは、価格を「買う側」から見ているからです。「売る側」にしてみると、価格を下げることによって、販売価格が元値(原価)に近づくので、1個あたりの利益は減ってしまいます。販売個数の増加で補えるかどうかは、個々のケースで異なります。 また、低価格の原因によっては、大きな問題を含みます。低価格になっている理由が、「商品が売れないから」だとすると、販売者にとっては由々しき事態です。さらに、低価格が従業員の給料の引き下げによって実現しているとすると、従業員の生活が厳しくなり、モノはさらに売れなくなるという悪循環におちいります。社会がこのような状態になることをデフレーションと呼び、これは失業や生産の停滞へとつながります。 人は購入者であるだけでなく、販売者でもあります。大多数の人が販売するのは、物品ではなく、労働力という「商品」です。この「商品」を売る側=労働者にとって、低価格は決してうれしいだけのものではありませんね。価格が下がるのは、いいことなんでしょうか?経済学部069

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