茨城大学 大学案内2017
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茨城大学、同大学院を経て教職の道へ。結城第一高校、明石工業高等専門学校、大阪教育大学で勤務した後、2011年に27年ぶりに母校・茨城大学へ。専門は解析学で、主に関数空間と積分作用素、および多変数関数のフーリエ級数を研究している。1993年、奈良女子大学で博士(理学)の学位を取得。理学部 理学科 数学・情報数理コース中井 英一 教授Nakai Eiichi理学部教員紹介先人たちが積み上げた理論を基に“永遠の正しさ”を証明したい 私の研究分野は、数学の中の「基礎解析学」。フーリエ解析や調和解析と呼ばれる分野を研究しています。…と言うと非常に難しくて、なんだか近付き難いものに感じるかもしれません。でも、たとえばフーリエ解析の中のウェーブレット理論は、石油探査に使われて大きな注目を集めたもの。現在ではデジタル技術の基礎として、音楽データや画像データの圧縮などにも活用されています。そして、サインやコサインなどでおなじみの三角関数や積分、ベクトルなど、高校生で習う数学をもう少しだけ先に進めれば、もうそれはフーリエ解析です。そういった事実を知ると、難解そうな数学も少し身近になった気がしませんか? 数学の研究は、先人たちが積み上げた理論を基礎として、その上に新しい理論を積み上げていく作業。一旦、正しいと証明されたことは、それ以降、ずっと正しいのが特長です。新しいことが発見されて従来までの理論が覆される、などということはありません。たとえば、直角三角形の3辺の長さの関係を表す「ピタゴラスの定理」。2000年以上も昔に証明されたものですが、それは今でも変わらずに正しいままです。つまり、もしもあなたが新しい定理なり公式を証明できれば、それはこの先ずっと“永遠に”正しいものになるということ。それは、とても魅力的な挑戦ですよね。 じつは私も、大学・大学院と茨城大学で学んだ卒業生の一人。受験勉強から解放され、時間がゆったりと流れる茨大ならではの雰囲気の中で、じっくりと数学と向き合えたことは非常に良かったと思っています。目の前で研究している先生方の話も、とても刺激になりました。もちろん勉強一辺倒ではなく、好きな音楽に没頭するなど、いろいろな時間を持てたのも学生ならでは。いま振り返っても充実した時間を過ごせたと思います。 学生時代の一番の思い出は、大学院でのある研究のこと。何カ月もかけて計算してきたものの途中に間違いを発見した時でした。その瞬間「あっ」と声が漏れてしまったほど。だいぶ手前の段階で証明できていたはずの箇所が、じつはそうではなかったのです。数学は積み重ねていくものですから、途中がダメなら全部ダメ。結局、それは形になりませんでした。とても残念でしたが「これが数学か」と、その本質を垣間見た気がして得る物は大きかったですね。 私の母校でもある茨城大学の落ち着いた時間の中で、あなたも自分自身と向き合い、そして数学の面白さ、深遠さにぜひ触れてください。待っていますよ。理学部57IBARAKI UNIVERSITY ADMISSION GUIDE 2017

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