茨城大学 大学案内2018
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お茶の水女子大学大学院人文科学研究科英文学専攻(修士課程)修了、同大学院人間科学研究科比較文化学専攻(博士課程)修了。釧路公立大学准教授。2012年、茨城大学に着任。大学時代、子どもの頃に愛読したシャーロット・ブロンテの伝記を書いたエリザベス・ギャスケルの研究をはじめる。やがて、興味の対象は同時代の作家全般へと広がり、女性作家の視点から見た社会全体の動きへと広がっていく。現在の研究テーマのひとつは、「医学を学んだ女性と文学の関係」。人文社会科学部 人間文化学科市川 千恵子 教授Ichikawa Chieko人文社会科学部教員紹介文学はあらゆる世界へつながる扉物事を読み取る視点を身につけよう 19世紀のイギリス文学を中心に、特に女性が書いたものを研究しています。その対象は小説に限らず、日記や手紙、旅行記、政治的な文章、どのように生きるかというようなことが書かれた指南書もあります。幅広いジャンルを横断する形で、分析対象もプロの作家だけではありません。 研究課題では「女性運動と文学の共鳴」と謳っているのですが、当時は何かを発信しようとすると、まず「書くこと」でしたので、書く行為によって、どのように女性が社会進出を果たしたのか、文学とフェミニズムがどのように相互に影響を与え合っていたのか、ということを読み解いています。 ここ数年は、年2回ほど大英図書館に行き、書簡やオリジナルの原稿を見せてもらっています。虫眼鏡を片手に、流暢な筆跡で書かれた文字を解読するだけでも大変です(笑)。それでも、インクの染みや紙の汚れに、筆者の体温や息づかいのようなものを感じますし、新しい発見があります。例えば、貧困のために身を売っているところを救世軍に救われて教育を受け、文字が書けるようになった労働者階級の女性の手紙がありました。そこには、たどたどしいけれど一所懸命に、助けてくれたことへの感謝の言葉や、自分の半生が綴られていました。 人はこのように変わるのか。そういった驚きや、他者の人生を垣間見ることができるのが、文学を学ぶひとつの大きな魅力だと思います。 19世紀の古い書物を広げると、ドッグイヤーというのですが、ページの片隅が三角に折られていることがあります。中流階級の蔵書ではなく、労働者階級のための貸本に多いのですが、折られた箇所を見て「その頃の人たちは、このページに惹かれたのか」と想像することも面白いです。 文学は、とても広い分野を扱います。自分の研究や興味の対象が、どこに向かっていったとしても、文学はその受け皿になってくれます。歴史、社会、言語、私が興味を持ったフェミニズムもそう。何にでも結びつくと思います。本を読むということは、いろんな角度から物事を読み取る視点を身につけることにもなります。 茨城大学では、グローバル教育にも力をいれています。積極的に海外へ発信していく、そういう人材になることもひとつの目標にして学んでほしいと思います。それは、学会発表に限りません。留学やボランティア活動、就職、さまざまな形があります。 文学は、紙の上だけにあるのではなく、歴史、社会、文化、あらゆる世界とつながっているのです。32IBARAKI UNIVERSITY ADMISSION GUIDE 2018

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