秋田県立大学 大学案内2018
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附置研究所木材高度加工研究所木材資源の理想的な循環系の確立で、人類の未来に貢献[研究テーマ]反芻動物のルーメン液を用いた木材由来セルロース分解物の分析と飼料としての可能性 アジアやアフリカを中心に人口は増加し、現在73億人の人口は、2100年には112億人となる見通しです。新興国が豊かになり、肉食が増えると、わが国でも肉の価格が高騰する可能性があります。現在でも、トウモロコシなどの飼料価格の差が影響してわが国の養豚のコストはアメリカの3倍です。また、世界的な水産物消費の拡大に伴い、養殖魚の割合が増え、2030年には食用向け需要の6割以上が養殖水産物になるとされています。しかし、そこに立ちはだかるのが飼料代です。餌となる配合飼料の5割が魚粉ですが、新興国の海産物の消費量が増え、魚粉の需要が伸びていること、魚粉の原料であるカタクシイワシやアジの枯渇により、20年前に1kg当たり50円以下だった魚粉飼料の価格が、2015年には約6倍に高騰しています。 そこで、木材の食料としての可能性を探ろうと考えました。木材は地球上に最も多量に存在するバイオマスであり、主成分の約7割はセルロースやヘミセルロースなどの糖類だからです。食料と言っても、人間が直接食べるのではなく、畜産や養殖魚などの飼料とすることが最終目標です。ウシは植物由来のセルロースを栄養とし、ミルクや肉に変えています。何故、ウシは牧草など植物由来のセルロースを栄養として利用できるのか? ウシには4つの胃があり、第1胃(ルーメン)には、セルロースなどの繊維質はルーメン内微生物の酵素によって分解発酵されますが、その他にも細菌やプロトゾア(原生動物)などの微生物がたくさん存在し、ウシはそれらの微生物をタンパク質として利用しているからです。そこで、木材をルーメン液で分解し、生成物を畜産や養殖魚の飼料にできないかと考えました。 みんながやっていることと同じではなく、難しいから誰もやらないこと、やろうとしないこと、そんなことできるわけがないと言われることにチャレンジしましょう。中村 昇 教授木質材料科学グループ専門分野/木質材料みらいへ飛ばす注目の 研究62 Akita Prefectural University

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