秋田県立大学 大学案内2018
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全国一の大学附属農場 農学系の大学には附属農場が設置され、大学における教育や研究に活用されています。フィールド教育研究センターは生物資源科学部の附属農場で大潟キャンパスにあります。その総面積190haで、東京ドームの建築面積に換算すると約40個分に相当します。そのうち耕地(水田)面積が164haあり、これは大学附属農場の中で全国一の広さです。ここでは、水稲に加え、大豆や小麦などの畑作物、果樹や野菜、花きなどの園芸作物、牧草やトウモロコシなどの飼料作物が栽培されるとともに、約50頭の肉用牛も飼養されています。このような農業生産の現場(フィールド)で、学生の演習や実習、卒業研究などが行われています。フィールド教育研究センターは、教育を通して、先進的な農業技術やその基礎となる理論を修得し、実社会の要請に対応できる農業振興や生物関連産業などに携わる人材の養成に貢献しています。同時に、水田およびその流域を対象とする、自然科学と社会科学を融合した新しい視点の総合的「フィールド科学」に立脚した理論・技術を開発し、その実用化および社会への普及を目指しています。センター内施設センター管理棟/大区画農場/研究用小区画水田/コンピュータ制御園芸温室/牛舎/作業舎/整備舎/機械格納庫/穀物乾燥調整設備/保冷庫生物資源科学部附属(大潟キャンパス)フィールド教育研究センターフィールド科学を目指す教育と研究の拠点[研究テーマ]畑作物(ダイズ、ムギ類)の安定・多収生産技術および雑草制御技術の開発 雑草は作物の生育を阻害し収量を低下させます。そのような厄介物の雑草を、生物(昆虫)を使って制御しよう!という研究を紹介します。 5年ほど前、畑や牧草地の雑草(エゾノギシギシ、多年草)を甲虫(コガタルリハムシ)の幼虫がむしゃむしゃと食べているのを見つけました。ほとんどの葉が食べられ息絶え絶えのエゾノギシギシも見られます。そこで私は、この甲虫にエゾノギシギシを食べてもらい雑草を制御する技術開発研究を始めました。 まず取り組んだのは、甲虫の生態解明です。この甲虫は、夏から冬の間、土中で成虫休眠します。その休眠する位置(深さ)を把握する実験により、体長5㎜ほどの成虫がなんと10㎝〜20㎝もの深さで休眠し越夏・越冬することが分かりました。休眠中に乾燥で死亡しないよう、適度な水分が保たれる土壌条件(深さ)を選ぶようです。春になると成虫は休眠から覚め地上に出てきてエゾノギシギシの葉に産卵します。私は、野外での産卵、孵化、幼虫の成育時期を調査するとともに、室内実験で温度と孵化・成育との関係を調べました。その結果、野外で本甲虫は、春期の気温の上昇に応答して孵化し、また幼虫の成育ステージを進ませていることが分かりました。 これら解明された生態に基づき、成虫の保管技術やエゾノギシギシへの放虫技術の応用研究も行っており、着々と成果を得ています。雑草を甲虫で制御する一連の技術体系を発表できる日は近いと考えています。 生物資源科学・農学に関心のある人は、生物資源の実物に触れる(例えば作物を栽培する)ことを勧めます。なぜなら、そのような体験の中での発見や感動は、学びの原動力になると思うからです。体験をして分からないことや不思議に思ったことを書物などで学び、その学びを経て次の体験をする「体験と学びの往復」は楽しいですよ!フィールド教育研究センター長露嵜 浩 教授アグリビジネス学科アグリテクノロジーグループ専門分野/畑作生産学・雑草学みらいへ飛ばす注目の 研究58 Akita Prefectural University

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