秋田県立大学 大学案内2018
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Messageみらいへ飛ばす注目の 研究 永吉先生はとても気さくな方です。河川の流れや農業水利施設についての研究が専門で、頭首工(取水堰)のスペシャリストといっても過言ではありません。また研究以外のことにも精通していらっしゃるので、話していてとても楽しいです。 科学する心の芽生えは、「ナゼ」という問いから始まります。また、「オモシロイ」と感じたことを「ナルホド」と納得できる答えが出るまで徹底的に調べるといった情熱も科学する心には重要です。このような知的探求心を育むためには様々な体験や基礎知識が必要になるので、勉強も遊びも目一杯やってほしいと思います。StudentVoiceアグリビジネス学科伊東 龍一さん[4年]愛知県/愛知みずほ大学瑞穂高等学校出身永吉 武志 准教授Nagayoshi Takeshiルーラルエンジニアリンググループ専門分野/水理学、農業水利学、河川工学研究テーマ河川の流れと河床変動の特性を解明し、農業水利施設を保全・整備するための技術に応用する 一般に河川は、水深が浅く流れの速い「瀬」と水深が深く流れが穏やかな「淵」を繰り返しながら流れ、所々に砂や礫が堆積した「洲」を形成しています。河川工学や砂防学の分野では、この瀬-淵と洲をひとまとまりとした河床の形態を「砂礫堆(されきたい)」と呼んでいます。生物体が多数の細胞が集まってつくられるように、河川もこの砂礫堆の集団によって構成されています。 河床に砂礫堆が形成されている河川では、水流が蛇行し、水流と河岸が強く衝突するところで河岸侵食や・河床洗掘などを生じます。また、直線的な河川に形成された砂礫堆は、洪水の度に瀬-淵と洲の形態を保ったまま下流へ移動するという性質を有しているため、河岸侵食・河床洗掘の箇所や農業用水の取水が可能な位置を変化させることがあります。一方で、ある限度以上に蛇行した河川では、砂礫堆の移動を止められることが明らかになっています。つまり、河川を蛇行させ、砂礫堆の移動を止めることが出来れば、瀬-淵と洲の位置を安定させることが可能になり、コンクリートなどによる河川の護岸箇所を減らすことや持続的で安定した農業用水の取水が可能になるのです。しかし、これにも一長一短があって、過度に蛇行した河川では、堤防や護岸などが損壊して大きな災害が起きることもあります。河川と人間が上手に付き合っていくには、工学的手法だけに頼り過ぎても、また自然や生態学的手法に期待し過ぎてもだめで、まずはそれぞれの長所と短所をよく知ることが重要です。 農業用水の安定供給を支える農業水利施設をより低コストで効率的かつ効果的に保全・整備していくための技術の確立を目指し、今後も河川を構成する砂礫堆の形と動きの性質についての研究を進めていきます。生物資源科学部アグリビジネス学科Akita Prefectural University 51

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