秋田県立大学 大学案内2019
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 ロボットかかし…と聞いて、どんな姿を想像しますか?かかしみたいな人形がロボットのように動く? 私たちが開発する「動物型ロボットかかし」は、皆さんが想像するような「かかし」のイメージとはかけ離れた姿かもしれません。 しかし、その働きはまさにかかしを目指したもの。クマなどの鳥獣から人里や畑を救う、守り神のような存在。普通のかかしと違うのは、謎の動物のように四つ足でふんばり、動物っぽい動きで相手を威嚇するところ。危害を加える動物から人々を守る、言わば『機動かかし』なのです。 研究開発の始まりは、2016年、県内でクマによる犠牲者が多数発生という異常事態。それを受けて県内ではクマを駆除する動きが強まっていきましたが、もっと自然な形で動物と人間が共生できないものかと考えたのです。 「動物に似たロボットなら、動物にも謎の天敵のように感じてもらえるかも」。そう直感し、ロボットかかしの本格的な開発に着手しました。実は、僕は小さい頃から “マジンガーZ”や“ガンダム”などロボットアニメで育ってきた最初の世代。SF的な発想になじみすぎたのか、神経制御義手といった研究に取り組んでおり、その一環として動物型ロボットも手がけていました。 「ロボットかかし」の元になった機体、その名は「しろやぎ」。20年ほど前、僕の所属する研究グループは人工心臓や人工神経の実験のためにヤギを飼っており、あやかって命名したのです。でもヤギとしろやぎを対面させたとき、普段は大人しく物事に動じない性格のヤギが、非常に驚いた仕草をみせました。人間が人型ロボットを気味悪く感じるように、動物も動物型ロボットを不気味に思うようだ、使えるかも…というのが始まりです。 見ての通り、しろやぎは少々小柄。ですがその小さなカラダとは裏腹に、「ガシャガシャ」とにぎやかな音を立てて素早く動き、横転しても起き上がる。更には動物威嚇用として、相撲の「猫だまし」のように、相手の鼻先に伸ばすアームも搭載しています。このしろやぎで、サルやクマを相手に得られた結果を反映し、開発中なのが最新型ロボットかかし「かみやぎ」です。 かみやぎは大人1人分ほどの重さがあります。迫力・威力はしろやぎとは段違い。そのMADE INボット動物と人類の平和な共生を目指す機動かかし『かみやぎ』「しろやぎ」から「かみやぎ」へ。進化を遂げるロボットかかしVISIONロボットで人里を救え!システム科学技術学部 知能メカトロニクス学科齋藤 敬 准教授 SAITO Takashi 私たちは、バイオとロボット分野を融合した研究を行っています。元々は神経細胞を情報源とした義手や義足の制御といった研究に取り組んでいました。それを応用して、今は細胞治療用から除雪や航空産業用まで、幅広いロボットを手がけています。 そして近年増えつつある鳥獣被害の現状を受け、私たちの研究を活かせるのではないかと「ロボットかかし」の開発をスタート。動物たちに「ここに近づいてはいけない」と知らせることで遠ざけ、人間も動物も平和に共存できる未来を目指しています。PROFILE青森県八戸市出身。東京大学工学系研究科先端学際工学専攻修了。博士(工学)。大阪大学産業科学研究所特任准教授、東京大学バイオエンジニアリング専攻特任研究員などを経て、平成22年4月より現職。趣味は語学力維持を兼ねた外国漫画の精読。ロボットの可能性を試すため、秋田を舞台に立ち上がる!10

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