東京理科大学 大学案内2018
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研究室紹介遺伝子の本体であるDNAを取り扱う技術全般を遺伝子工学と呼びます。生理活性物質の大量生産をはじめとして、生物工学のあらゆる分野で活用されています。遺伝子工学系食糧問題や地球環境の変化に対処するための環境ストレスに強い植物の育成や植物を利用した物質生産系の構築を目指します。また、植物と昆虫の相互作用の解析などを通して環境問題にアプローチしていきます。植物・環境工学系細胞の分化機能を解明するとともに、その過程を制御することにより組織や臓器を人為的に作ることを目指す学問が、再生・発生工学です。再生・発生工学系細胞にDNAを注入したり、細胞の遺伝子を破壊することにより遺伝子の機能を調べたり、細胞の性質を変えたり、有用物質を生産する方法を研究する学問分野です。細胞工学系免疫工学は、遺伝子・分子・細胞・個体といったさまざまなレベルで免疫応答の仕組みの理解を深め、得られた結果を応用してアレルギー、自己免疫疾患、臓器移植やがんなどのさまざまな疾患にアプローチしていく学問分野です。免疫工学系タンパク質の立体構造を決定したり、機能を立体構造に基づいて理解することが構造生物学の目的です。新しい薬の開発にも応用される重要な分野です。構造生物学系有機化学は分子の構造と性質を知り、分子の変化、すなわち反応の機構を知る学問です。生物有機化学は分子の視点から生命現象を解明し、人工生体機能分子の創製などを行う学問です。生物有機化学系[専攻]分子生態学 [研究]遺伝子工学、エコロジー、生理学[テーマ例] 1植物のハダニに対する防御とハダニの寄主適応メカニズムの解明 2香りを介した「植物のコミュニケーション」の分子基盤の解明 3害虫防除に役立つ遺伝子組換え植物の作成のための基盤研究 4生物間コミュニケーションにおいて重要な、昆虫の唾液に共生する微生物の探索生物は他の生物と相互作用(コミュニケーション)することで多様な進化を遂げてきました。本研究室では、生物が他の生物を認識するメカニズムを明らかにするため、最先端の遺伝子工学とエコロジーを融合した研究に取り組んでいます。害虫が植物をかじると放出される植物の活性因子(植物の香りなど)が植物と昆虫、植物と植物のコミュニケーションをいかに取り持つか?そのメカニズムの解明に挑戦しています。有村 研究室指導教員/有村 源一郎 准教授[専攻]ゲノム工学 [研究]微生物遺伝学、遺伝子工学、応用真菌学[テーマ例] 1物質生産に関与する転写因子活性制御機構の解明 2真菌遺伝子およびタンパク質機能解析ツールの開発 3有用未知微生物の発掘地球上にはさまざまな微生物が生息し、いろいろな形でわれわれの生活に深く関わっています。本研究室では、これらの微生物機能を制御することが人間生活に役立つと考え、遺伝学や分子生物学手法を駆使して研究を進めています。また、未知微生物は数百万種ともいわれ、われわれが認識している生物種の数十倍以上と見積もられており、これらの発掘を通じて、微生物機能の開発を多面的に推進することを目指しています。清水 研究室指導教員/清水 公徳 准教授[専攻]植物分子生物学 [研究]分子生物学、分子遺伝学、分子育種[テーマ例] 1植物の遺伝子発現の制御機構の解析 2植物のバイオマス生産性に関与する遺伝子の解析 3植物を利用した物質生産法(分子農業)の確立 4ゲノム編集技術の改良と分子育種地球上のすべての生物は植物に依存しています。私たちは植物バイオマスの生産性を決める遺伝子や、環境ストレス応答に関与する遺伝子についての研究をしています。また、植物に有用遺伝子を導入することで、医薬材料や工業原料を生産する方法の開発を行っています。温室効果ガスの排出抑制の鍵は植物バイオマスを有効利用することです。植物の機能を遺伝子レベルで詳細に解明し、これを高度利用することにより、循環型で持続的安定的な未来社会が構築できると考えています。島田 研究室指導教員/島田 浩章 教授[専攻]発生 ・再生工学 [研究]生体機能学 ・病態生理学 ・神経薬理学[テーマ例] 1神経活性化による神経若返りメカニズム解明 2神経新生メカニズムとうつ治療効果への関与解明 3視床下部の遺伝子発現から見る新たな食欲制御メカニズム同定生体を一つの調節機構と捉え、分子から細胞・組織・生体までの相互作用解明を目指します。特に不明な点が多い脳機能の探索に焦点を当てています。研究の切り口として、治療メカニズムが不明であるうつ治療を用い、そこで見えてきた海馬での神経新生・成熟神経の若返り、また視床下部での食欲抑制中枢の活性化メカニズムを探ります。これにより、これまでに知られていない脳機能の制御メカニズムの一端を明らかにするとともに、精神疾患の治療分子標的の同定も試みます。瀬木 研究室指導教員/瀬木(西田) 恵里 准教授[専攻]生体物質化学 [研究]進化生命化学、RNA科学[テーマ例] 1遺伝暗号の分子論的基礎づけ 2リボザイムの機能解明 3RNAとタンパク質の起源と進化RNAとアミノ酸の対応関係である「遺伝暗号」は、すべての生命体に共通に存在するアルゴリズムであり、生命体の本質や構成原理に関わっています。本研究室では、遺伝暗号の起源と成立原理を解明することで、生命の起源の謎に迫っています。また、触媒機能を有するRNAの開発などの、ナノテクノロジーの創出にもつながる研究も指向しています。さらに、L-アミノ酸のみが使われている生物界の非対称性の謎の研究や、遺伝暗号を利用した新規人工タンパク質の合成方法の開発の研究も行っています。田村 研究室指導教員/田村 浩二 教授[専攻]細胞生物学 [研究]細胞内物質輸送、細胞増殖制御[テーマ例] 1医薬品の主要な標的分子であるGタンパク質共役受容体の活性制御機構の解析 2細胞増殖の制御機構とがん化に関する研究(エンドサイトーシスによる調節機構) 3創薬の標的としてのプロトン輸送体の研究(細胞内pHの制御機構の研究)医薬モデル生物工学はモデル生物を用いて得られた研究成果を、病気の原因解明や医薬品の開発につなげていく研究です。私たちの研究室では、人間の細胞に類似した機能を持つモデル生物である出芽酵母を用いて、医薬品の主要な標的分子であるGタンパク質共役受容体や、がん疾患の治療薬として期待されるプロトン(H+)輸送体の研究を行っています。また、病原体の排除や、ウィルス感染に関わるエンドサイトーシスの研究を行っています。十島 研究室指導教員/十島 二朗 教授[専攻]発生学 [研究]発生学、発生工学[テーマ例] 1雌性生殖器・乳腺形成過程における細胞の運命決定・分化メカニズム 2歯・味蕾(舌)の形態形成メカニズム 3ホタテ貝雌雄決定機構の解析培養モデルを駆使して哺乳動物の発生・再生に関わる研究を行っています。雌性生殖器と乳腺を対象とした研究では、細胞の運命決定・分化のメカニズム、iPS細胞からの誘導、性ホルモンの作用メカニズム等の解析を行っています。歯や舌(味蕾)を対象とした研究では、形態形成のメカニズム解析と、それを応用した組織・器官の再生に挑戦しています。また最近は二枚貝(ホタテ貝)の雌雄決定メカニズムの解析も行っています。友岡 研究室指導教員/友岡 康弘 教授[専攻]免疫学 [研究]分子生物学、ゲノム医科学、応用生命工学[テーマ例] 1アレルギーや自己免疫疾患の発症機構解明 2幹細胞から免疫系細胞分化における遺伝子発現制御機構の解明 3免疫系細胞に関わる転写調節因子の構造と機能相関免疫は私たちの体を感染から守るために本来備わっている機能ですが、アレルギーや自己免疫疾患、移植、がんなど、さまざまな病態と関わります。免疫応答を司る細胞たちが機能を発現する仕組みを解き明かすべく、遺伝子、分子、細胞、マウス個体、ヒト検体、と多様な視点で取り組んでいます。学生の皆さんに研究の面白さ、醍醐味を経験してもらえるよう、楽しみながらもしっかり研究していきたいと思います。西山 研究室指導教員/西山 千春 教授[専攻]生体高分子工学 [研究]染色体工学、タンパク質工学、構造生物学[テーマ例] 1遺伝情報継承に関与する因子の同定 2遺伝情報継承に関与する因子の立体構造解析 3遺伝情報制御に関与する因子の機能解析私たちは、細胞の生命リレーがどのように行われているかを研究しています。このリレーにはさまざまな走者(蛋白質)が登場します。リレーのバトンは遺伝情報(DNA、染色体)です。遺伝情報が次世代へと正確に継承されないと細胞死や病気、がんになります。私たちはこの仕組みを解き明かすために、遺伝学や細胞生物学により関与する因子を同定し、X線や電子線、磁気共鳴により立体構造を決定し、生化学や細胞生物学により機能を検証します。西野 研究室指導教員/西野 達哉 准教授[専攻]ケミカルバイオロジー [研究]糖鎖工学[テーマ例] 1神経系α経路ガングリオシドの機能解明 2細胞内への物質輸送メカニズムの解明 3ギランバレー症候群関連糖鎖の合成生命の第三の鎖といわれる糖鎖の機能を解明するための研究をしています。例えば、コリン作動性ニューロンに特異的に存在するα経路ガングリオシドは100種類以上の化合物群です。そのうち化学合成に成功したGM1αは、細胞膜の中で局在化したラフトを形成し、表面圧の変化により凝集したり分離したりダイナミックに変化することを発見しました。これは細胞内への情報伝達において自己リン酸化酵素やシグナルペプチドを切断する酵素の凝集を担う現象と考えられ、他のα経路ガングリオシドの研究に拍車をかけているところです。堀戸 研究室指導教員/堀戸 重臣 教授[専攻]生体高分子工学 [研究]タンパク質工学、生物物理学、構造生物学[テーマ例] 1タンパク質工学と立体構造解析 2糖転移酵素の反応メカニズム 3核タンパク質とDNAの相互作用さまざまな生命現象をつかさどるタンパク質が機能するためには、折り畳まれ、特異的な3次元立体構造を持つ必要があります。タンパク質の機能を理解するためには、タンパク質の3次元立体構造や微細な立体構造の変化を知る必要があります。たった20種類のアミノ酸から作られているにもかかわらず複雑な働きをするタンパク質、その仕組みを立体構造に基づいて解き明かす研究をしています。これにより生命現象の本質が何であるかが明らかになると期待されます。三浦 研究室指導教員/三浦 成敏 教授[専攻]遺伝子工学、ゲノム生物学 [研究]遺伝子工学、ゲノム生物学、創薬科学[テーマ例] 1がん化の分子機構のゲノムレベルでの解析 2がん治療・診断のための標的分子の探索研究 3高等動物細胞の転写制御機構に関する研究ヒトゲノム解析プロジェクトにより、ヒト遺伝子の全貌が解明されました。本研究室ではゲノム解析の成果の活用によるがんの撲滅を目標に研究を進めています。全遺伝子の発現状態を一度に解析できるDNAチップ解析などにより、新たながん治療・がん診断の標的遺伝子を探索し、新たなバイオ医薬品を生み出すことを目指しています。また、DNAの傷害修復機構・細胞周期制御機構・遺伝子発現制御機構の分子レベルでの解析にも力を入れています。村上 研究室指導教員/村上 康文 教授(2017年4月1日現在)基礎工学部生物工学科材料工学科電子応用工学科94

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