東京理科大学 大学案内2018
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Researchers at the forefront世界へ発信する研究力理科大には387の研究室があり、理工系大学では最大級の規模となっています。新たな科学技術の創造。それを実現する教員たちの最新研究が理科大にはあふれています。messageとことん突き詰めて考えた先に、今まで誰も測れなかっ たものを測り、誰も知らなかった画期的・普遍的な知識を発見する。そうしたことに魅力を感じる方には、理学、なかでもレーザー分光学をぜひお勧めします。もレーぜひ。 私の専門は光科学の一領域、「レーザー分光学」です。一言でいえば、光源としてレーザーを用いて「分子の構造と反応」を調べる学問です。気体の分子に光を当てると、その分子はエネルギーが高い状態(励起状態)になります。励起状態は不安定なので、分子は通常エネルギーを放出し、低いエネルギー状態に戻ろうとします。そのとき、分子は光を発するのですが、その色(波長)を調べると、分子の構造(結合距離・結合角度など)や反応性(化学結合が切れる速さなど)を知ることができます。光源としては、強くて純度が高いレーザー光がうってつけです。 分光学で明らかになった分子に関する知識は、さまざまな分野に応用されています。例えば、宇宙空間には励起状態の分子やイオンが数多く存在しており、分光学を通じて宇宙空間におけるさまざまな分子の分布の様子が詳しく分かります。地球上から電波望遠鏡で宇宙をの ぞけば、私たちが宇宙へ赴くことなく、そこにある分子の種類・量や反応性が分かるのです。私たちが分子のデータベースをさらに充実させていけば、宇宙における物質の進化の過程が明らかになってくるでしょう。また、生命科学への応用としては、アルツハイマー病の原因となるタンパク質の凝集体を赤外レーザーで分解できることが明らかになっています。 とはいえ、私たちは決して応用を目的に研究しているわけではありません。理学は「真理の解明」が使命です。分子はどのような構造で、どのような反応をするのか。その理屈を明らかにすることが私たちの役割で、やりがいでもあります。理学者が「なぜ?」を追求し、教科書に載るような普遍的な知識を獲得することには、大きな社会的意義があるのです。私たちは、そのために日々、今まで誰も創り出したことのない独自のアイデアを盛り込んだ装置を新たに自作しています。このような工夫が、画期的データをもたらす源泉となります。その意味で、理学の研究は地道ですがクリエイティブな仕事ではないかと思います。FRONT LINE of theworld1387築山 光一 教授理学部第一部 化学科教科書に載るような普遍的なデータを獲得するレーザー分光学KEYWORD5

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