東京工科大学 大学案内2018
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analyze the CD spectraHCK+Na+Mg2+Parallel G-quadruplexof VEGFG-quartet2017年4月現在DNAが二重らせん構造をしていることはよく知られていますが、一部は「グアニン四重鎖(G4)」と呼ばれる四重の鎖状になっています。このG4はがん関連遺伝子のプロモーター中によく見られる構造で、遺伝子の転写制御に関わっていることが知られています。つまり、G4が安定化すれば遺伝子の転写が抑制され、がん細胞の異常増殖を抑えることが期待できるのです。私が研究で着目したのはVEGF(血管内皮細胞増殖因子)という物質で、この遺伝子の転写を抑制させるため、G4が安定化する条件について検討しました。VEGFは血管新生を行う遺伝子で、がん患者では過剰に分泌される特徴があります。がん細胞と新生された血管が結合すると、がん細胞に多くの栄養が供給されることで細胞が成長するだけでなく、血管を通じて他の部位に転移が可能となりがんの悪化を引き起こします。この遺伝子の転写抑制機構を解明するため、私はCDスペクトル解析という方法で、がん関連遺伝子で異常発現するメチル化にも着目しながら、メチル化VEGF G4の形態や熱安定性を調べました。実験はさまざまな濃度のNa+,K+,Mg2+の存在下で行いました。その結果、メチル化によってG4が安定化するイオン条件を見い出すことができ、この成果を4年次の冬に横浜で開催された分子生物学会で発表しました。それまで外部の研究者と接する機会があまりなかったのですが、この学会で同じ分野の研究に取り組む企業や研究機関の方たちと交流を図れた経験は自分にとって有意義なものとなりました。研究に臨むうえで重要なことは、誰もやっていない未知の領域に挑むことです。そのためにはまず、多くの論文を読み、自分が手がけようとしていることが独自の研究であることを見極めなければなりません。大変ですが、こうした苦労の先にある新しい発見に辿り着いたときの感動は格別なものです。左: CDスペクトル解析の概念図右: 血管内皮細胞増殖因子のグアニン四重鎖モデルがん抑制に関わる「四重鎖構造のDNA」の秘密に迫る大学の価値や実力を判断するうえで重要なものさしとなるのが“研究力”です。応用生物学部では、教育機関として最高水準を誇る設備・施設を活用した多彩な先端研究を推進しています。学生たちの取り組みからは、注目を集める学術成果が続々と生まれています。生命機能応用研究室2017年3月応用生物学部卒業札幌西高校出身(北海道)寺坂 美槻 さん株式会社ユーグレナアンチエイジングフード研究室教授・医学博士 佐藤 拓己専門分野: 神経科学、ケミカルバイオロジー、食品機能性食品フレーバー科学研究室教授・農学博士 高柳 勉 出身企業:明治乳業専門分野: 果実生理学、ワイン科学、食品科学応用微生物学研究室准教授・博士(農学) 西野 智彦出身企業:ヤクルト本社専門分野: 微生物学助教・博士(海洋科学) 阿部 周司専門分野: 食品加工、魚肉ゲル、解凍先端化粧品コース細胞制御研究室教授・薬学博士 今村 亨出身:産業技術総合研究所専門分野: シグナル分子、分子細胞生物学、皮膚科学、 放射線生物学、糖鎖科学、生化学皮膚生化学研究室教授・博士(農学) 岩渕 徳郎 出身企業:資生堂専門分野: 毛髪科学、生化学、皮膚科学化粧品材料化学研究室教授・博士(工学) 柴田 雅史 出身企業:花王専門分野: 化粧品科学、コロイド界面化学、無機材料化学美科学研究室教授・医学博士 前田 憲寿 出身企業:資生堂専門分野: 皮膚科学、香粧品学、創薬科学、薬理学、 分子細胞生物学光老化研究室教授・博士(薬学) 正木 仁出身企業:コスモステクニカルセンター専門分野: 皮膚科学、化粧品学抗酸化物質化学研究室准教授・博士(工学) 藤沢 章雄専門分野: 反応化学、有機化学助教・博士(工学) 中川 香奈子専門分野: タンパク質工学、構造生物学73TOKYO UNIVERSITY OF TECHNOLOGY応用生物学部

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