東京工科大学 大学案内2019
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(a)(c)(d)(b)私はもともとヘアカラーの研究に関心を持っていたのですが、現在所属する研究室で「ラタノプロスト」という薬剤があることを知り、以来、これを用いた白髪の進行防止と髪の育毛それぞれに効果のある薬の開発をめざす研究に取り組んでいます。「ラタノプロスト」とは緑内障や高眼圧症で使われている一般的な治療薬で、投与の結果目の周りの皮膚が黒く変色したり、まつ毛が伸びたりする副作用のあることが知られています。この副作用のメカニズムを解明して毛髪研究に生かせば、髪の毛を黒くしたり、成長させたりする新たな薬剤をつくり出せるのではないかと考えたのです。また、眼病治療薬として実績のある「ラタノプロスト」は、安全性検証のための動物実験が不要な点も、実用化をめざすうえで有利であると考えました。これまでの研究で、髪の毛のメラニンをつくり出す細胞に「ラタノプロスト」を添加すると、メラニン増加に関与する物質の濃度が上昇し、実際にメラニンの合成が促進されることが確認できました。現在は、学内の充実した機材・設備を利用しながら、そのメラニン増殖の仕組みの詳細な全体像の解明に向けて実験を重ねています。この研究を始めてから、学会での研究発表などの機会を通じて、将来進みたいと考えている化粧品開発分野の多くの研究者とつながりを持てたことは、大学院に進んだからこそ得ることのできたメリットだと考えています。学会発表を通じて、多くの研究者とのつながりが広がりました。皮膚生化学研究室バイオ・情報メディア研究科 バイオニクス専攻修士課程1年(取材時)県立宮崎西高校出身(宮崎県)恒川 友紀大学院は、未踏に挑む感動と、将来につながるキャリアを育てます。ネットサービスのログイン時に、歪ませた文字や判別しづらい画像を正しく読み取って入力する本来の入力ユーザーと、そのユーザーになりすまそうとするコンピュータプログラムを識別する「CAPTCHA」というセキュリティ技術があります。しかし近年、「深層学習※」という人工知能技術の急速な発達により、従来はコンピュータプログラムでは読めなかった文字や画像の多くが認識されるようになってしまいました。そこで私は、特殊なノイズを画像に何度も重ねる方法で、深層学習を使って「CAPTCHA」を突破しようとする敵対プログラムに対抗する新しい「CAPTCHA」技術の開発に取り組み、ネットセキュリティ向上への貢献が期待できる有望な成果を挙げることができました。私はこの成果を、指導教員である柴田千尋先生と宇田隆哉先生との連名で論文にまとめ、2017年6月に情報処理学会のシンポジウムで発表。優秀論文賞と優秀プレゼンテーション賞を受賞することができました。これ以前にも私は、スイス・チェコ・台湾・イタリアで行われた学会に参加して、論文を発表したことがあります。これらの国際舞台で得ることのできた貴重な経験と、常に私の挑戦を後押ししてくれる先生方の存在が、今回の快挙達成の支えになったと考えています。※深層学習:人間の神経を模したニューラルネットワークを多層的に重ねることで、コンピュータによる正確・迅速な判断を実現させる技術。国際舞台での経験と先生の後押しが、快挙達成の原動力に。人工知能・機械学習研究室バイオ・情報メディア研究科 コンピュータサイエンス専攻修士課程1年(取材時)県立松戸六実高校出身(千葉県)阿座上 知香111TOKYO UNIVERSITY OF TECHNOLOGY東京工科大学 大学院

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