日本大学生物資源科学部 学部案内2018
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48庭木に現れたサルノコシカケ。老木の貫禄が出てきたなぁ、なんて喜んではいませんか。あるいは、街路樹の根元に顔を出したナラタケやベッコウタケ。キモカワイイなんて面白がっている場合ではありませんよ。これらのキノコは、樹木にとって危険な兆候なのです。私たちが普段目にするキノコは、子実体といって植物の花のようなもの。本体は、土壌や樹木の中に広がっている目に見えない菌類です。彼らは本来、枯れ木を分解するなど、自然界の掃除屋として大切な役割を担っています。しかし、これが健康な樹木に入り込むと、根や幹を内部から腐らせ、倒木の危険性さえ招きかねません。また小笠原諸島では、シマサルノコシカケによる南根腐病が猛威を振るい、貴重な固有種などが危機に瀕しています。「こうした病気は、普通の森林では滅多に見ることはありません」と話すのは、森林植物・微生物学研究室でキノコや樹木の病気を研究する太田教授。「街路樹は人工的な生育環境、小笠原は何らかの急激な環境変化で、微妙なバランスが崩れ、病気が増えているのだと思います」美しい街並みや環境を守るためにも、私たちは複雑な菌類の世界について、もっと多くのことを知る必要があるようです。キノコは樹木の声なき声。地球環境問題や資源問題が注目されている今、森林を扱う研究の重要性が高まっています。森林資源科学科は、森林をより良く利用しながら守っていくことをテーマに、豊富な野外活動を交えた実践的な教育、研究を進めています。森林植物・微生物学研究室森林資源科学科Department of Forest Science and Resources

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