愛知大学 大学案内2017
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信義則を見つめ心情に寄り添う法を。■ 民法総則 私たちの身近な法律、民法。この授業では、民法全般に関する基本的ルールを規定した民法総則について学びます。民法は適用範囲が広く、抽象的な内容も多いので、用語の説明から授業をはじめます。民法を象徴する代表的な言葉が「信義誠実の原則」。条文には「権利の行使および義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」とあり、信義や誠実の具体的な内容については規定されていません。信義とは何か、誠実さとは何かを考え、自分なりの答えを見つけることが民法を学ぶ面白さでもあります。また裁判で有罪・無罪という明確な答えが出る刑法とは異なり、民法がめざす最善の解決は和解です。対立する意見をまとめ、互いが納得できる着地点をいかに導き出せるか。そのためには、双方の心情理解とともに、自身の意見を相手に正しく伝える力が必要です。確かな法知識を基盤に、“正義の反対はもう一つの正義である”という多様な価値観の中で、解決策を模索し、高度なコミュニケーションスキルを養ってほしいと考えています。専門教育科目ピックアップ法学部 准教授木村 義和法学部 教授大川 四郎法学部 准教授金井 幸子法学部 准教授永戸 力Nagoya Campus健やかに働くための法知識を養う。■ 労働法歴史的・世界的な視野で法律の根拠に迫る。■ 西洋法制史 法律は万人を対象にしているため、条文の表現は抽象的です。さらに、その法律をなぜ守らねばならないかは、一切書かれていません。ここで、時代をさかのぼり、海外にまで視野を広げてみましょう。そうすると、洋の東西を問わずどの時代でも、「他人を害するな」という規則があることに気がつくはずです。事実、先人は人々の間の利害対立を制御して、社会を維持発展させてきました。一見無機質な法律とは、そうした先人の叡智が結晶化したものにほかなりません。このように、歴史学的手法を駆使して、過去の法制度と比較対照することにより、現存する法律の根拠を探究していく分野が、法制史です。私の研究課題は次の二点です。第一点は、ルネッサンス期からフランス民法典編纂までのフランス近代私法形成史です。日本民法典の淵源ともなった同法典の成立に、私は大学院時代から取り組んでいます。第二点はスイス留学後に遭遇した課題で、戦争捕虜や難民の保護に関する国際人道法史です。行政のいまを学び公共利益に貢献する。■ 行政学 法学は法律学と政治学に分かれており、政治学の中で行政の役割について分析を行う学問が「行政学」です。私たちの生活にはあらゆる面で行政がかかわっており、行政を取り巻くメカニズムを理解することは、一市民としても重要です。たとえば公務員制度。公務員はどのような役割を担い、なぜ社会から必要とされているのか、どういった基準で採用されるべきなのかについて、日本の行政システムに影響を与えた諸外国の歴史と併せて学びます。近年、国民からの改革要求もあり、日本の行政のあり方は大きく変化しています。1970年代後半にイギリス・アメリカなどアングロサクソン諸国で始まったNPM(New Public Management:民間の経営手法を取り入れた公的部門の効率化・運営改革)により、指定管理者制度や官民競争入札が導入され、行政にも民間企業並みの厳しい競争が求められるようになってきました。多面的に行政を学び、これからのあり方を考察することは、公共的な利益を創出する原動力となると同時に、国家公務員総合職をめざす上でも役立ちます。 近年、セクハラ・パワハラといった言葉が一般化し、ニュースや新聞などにも取り上げられ社会問題となっています。この授業では労働基準法を中心に、労働契約法・労働組合法・労働者災害補償保険法といった労働者の保護や地位向上を目的とする法律を学び、働く上でのさまざまな問題を解決するための知識を養います。コンプライアンスの重視や仕事観の変化、雇用形態の多様化などによって働き方や労働環境が大きく様変わりした昨今、労働にかかわる法知識に精通していることは自らの身を守るだけでなく、周りで苦しんでいる人の救済にもつながります。ただし労働者側の主張ばかりでなく企業の利益も考慮し、公平な視点を持ち運用することが重要です。また最近、過労死等防止対策推進法が新設されましたが、このような労働法制の動向から、現代社会の動きを読み解くこともできます。社会人必携ともいえる労働関係法律の知識を身につけ、民間企業はもちろん公務員や労働基準監督官、教員などの幅広い分野での活躍を期待しています。法学部 法学科042

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