愛知大学 大学案内2017
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愛知大学設立趣意書 (現代語訳)わが日本は長期にわたる今回の戦争によって、物質的・精神的に荒廃させられ、特にその結果は惨憺たる敗戦を招き、まさに壊滅の危機に立つといっても過言ではない。いま、このような壊滅を免れようとするならば、この事態を到来させた古き日本の誤った指導と積り積もった弊害を一掃し、新しい日本として更生する道を選ぶほかないのである。実に新日本の進むべき方向は、旧来の軍国主義的、侵略主義的などの諸傾向を一度に投げ捨て、社会的存在の全範囲にわたって民主主義を実現し、自らを文化、道義、平和の新国家として再建することによって世界の一員として、世界文化と平和に貢献できるようなものとすることでなければならない。このような新日本の新しい出発に際して、さしあたり解決を要する様々な問題が山積するといえども、特に学問、思想、文化を盛んに興し、教養ある才能のある人材を養成することは急務で最も基礎的なものの一つというべきであろう。我々がたがいに相談してここに愛知大学を設立しようとする理由は、実にこのような客観的要請に呼応するものであり、一言でこれを言えば世界平和に寄与すべき日本の人文の興隆と、才能のある人材の養成という点に尽きるのである。しかしながらこの時に際し、予定するような地方において本大学を開設しようとすることについては、自ら特殊な意義と使命もまたある。つまり、第一に、本大学の所在地は中部日本の一地方都市(愛知県豊橋市)に置くのであるが、その理由はいま我が国において学問文化の興隆を計ろうとするためには、大都市への偏重集積をなくし地方分散こそ望むとの趣旨を活かそうとする含みを持つことに他ならない。周知のように名古屋市を中心とする中部日本には、まだ法文科系の大学がなく、この地方にはこのような文化機関の設置を要望すること切なるものがある。愛知大学はこの要望に応え学問の研究を盛んにするとともに、周囲への文化的影響があるようにしようとするものである。第二に、世界文化と平和に寄与すべき新日本の建設に適する人材は、国際的教養と視野を持つことが最も必要な資格の一つと考えられる事情に照らし、本大学としては一般的な学問の基礎の上に各国の政治、経済、文化の研究に重点を置く科目を設け、これを必須科目とし、いわば国際文化大学のような性格をその一つの特徴としようとする意図を有するものである。このような大学は我が国にまだ無いもので、本学はこの点に新しい計画を始めようとするものである。さらに第三に、本大学は第一年度に予科全学級を、第二年度に学部全学年を同時に開設し、中部日本出身の学生(男女)で、遠く離れた地で学ぶ者にして時局下就学が不便のため転学しようとする者の要望に応じるとともに、外地の大学、専門学校に在籍する学生の転入学の困難をも緩和しようとするものである。外地の引揚げ学生は現在、転入学が困難な事情のもとに苦悩しているだけでなく、比較的に国際的知識欲が旺盛であるので、本学に収容し思想的、学問的に再教育することはまた本学の性格に相応しい一つの任務と考えられるものである。以上の諸見地から、我々は微力も顧みず、ここに愛知大学設立の行動に出ようとするものであり、我等の真意が各方面に正しく理解され、この企画に対して支援と鞭撻を与えられることを念願して止まない次第である。177

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