愛知大学 大学案内2017
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専門演習(ゼミナール)持続可能な地方都市のあり方を探究する。公共政策フォーラム参加の経験を糧に地方が輝ける道を模索。鄭ゼミナール 私のゼミでは、卒業研究制作を通じて地方自治や地域の課題について考察します。当初は防災をテーマとした研究を予定していましたが、2015年度は学生から「公共政策フォーラム2015 in 釧路」学生政策コンペ(日本公共政策学会主催)に出場したいと申し出があったので、「地域における誇りと愛着の再生」をテーマに全員で研究することとし、フォーラムでは二つの提案を行いました。一つ目は、地域に暮らす子どもたちにふるさとへの誇りを持ってもらうための教育を、小中学校のカリキュラムに組み込む「内なる挑戦」。もう一つは、地域資源である釧路ラーメンを他の北海道ご当地ラーメンと競わせるイベントを開催し、北海道全体を盛り上げようという「外なる挑戦」です。この提案に至るまでの間に、学生たちは政策過程などの基礎的素養とともにゼミ全体でのテーマ選定から発表までを一連のプロセスとして学ぶことになりました。フォーラム後はこの成果を踏まえ、自由なテーマに基づいて個々の研究を進めています。地方消滅論なども登場していますが、小さいながらも地方が輝ける道を探るのがこのゼミのねらいです。課題を発見し、自ら考え、成果として発信する力を養ってもらえればと思います。■ ゼミナール ダイジェスト 今回は卒論の中間発表の第1回目となった。テーマは、釧路での発表テーマにも含まれていた「ふるさと教育の可能性」。発表者は、地元である岐阜県郡上市と下宿している豊橋市を対象に、ヒアリング調査など自分の足を使った調査を考えている。「釧路の研究時に感じたのが、地域の魅力に気づいていない人の多さ。ふるさとに誇りを持ち、もう一度帰ってきたいと思う人を一人でも増やすことが重要です」。子ども時代に、地域の良さを深く学べていないことがその根本原因だという。「ふるさと教育を見直し課題を明らかにすることで、よりよい教育提案をしたいと考えています」。学生から質問が飛ぶ。「遠方だった釧路の研究では、インターネットや文献を中心に調査するしかありませんでしたが、今回はどのような調査を考えていますか」。「両親が現役の教員なので、まずは両親からヒヤリングするつもりです。ほかにも、教職課程でお世話になっている豊橋市の福岡小学校の先生にも聴き取り調査をする予定です」。別の学生からも質問が出された。「ふるさと教育は本当に人口増加につながると考えられますか」。しばらく考えた後、発表者が答える。「すぐに人口増加にはつながらないかもしれません。しかし地域の良さを発信し、地域を支えているのは、行政ではなく住民。子どもたちが地域の魅力を知ることは、絶対にプラスになると考えます」。ここで先生から意見が出された。「目先の人口問題を解決するためではなく、100年後の日本を見据えて取り組むのが教育です。このテーマは郡上市の将来を考える上で非常に有意義だといえるでしょう。ところで理想のふるさと教育とはどのようなものだと考えていますか」。「ただ知識を詰め込むのではなく、子どもたちが楽しめるような体験型の教育です。文字ではなく五感を使って覚えたことは、忘れないと思います」と答える発表者の目は輝いていた。100年後の地元を見つめ、体験型のふるさと教育を提案したい。担当教員地域政策学部 准教授鄭 智允Faculty of Regional Policy117

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