岡山大学 大学案内2018
11/86

9特集4ーがん治療の明日 OKAYAMA UNIVERSITY 2018 サイクロトロン型加速器を中性子源としたBNCT照射システムを設置しました(9Beターゲット)。2012年からは再発悪性脳腫瘍、2014年から頭頸部腫瘍を対象疾患とした治験が開始されています。ホウ素薬剤については、1968年に畠中が使用したのが12個の10Bを含む結晶体BSHでした。ただし、BSHを腫瘍細胞内に直接取り込ませることはできませんでした。一方、三島 豊(神戸大学)は悪性黒色腫(メラノーマ)を対象に、がん組織に選択的に取り込まれるホウ素薬剤BPAを開発し、1987年に臨床適用しました。BPAは悪性脳腫瘍と皮膚がん、頭頸部がんに適用拡大されています。BPAはただ、1分子中にホウ素原子を1個しか含まず、効率的でありません。また、がん細胞は代謝・増殖が盛んでありBPAを良く取り込みますが、同時に多くが排出されます。このため、中性子線照射中も常に大量のホウ素薬剤を投与し続ける必要があります。 岡山大学中性子医療研究センター (NTRC)の役割 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科細胞生理学分野・松井秀樹教授の研究室では、各種の有用物質を高能率に細胞内に導入する技術を開発しました。この技術を利用して腫瘍細胞内に入らなかったBSHを高濃度に導入する画期的なホウ素製剤の開発に成功しています。BNCT用の加速器型中性子源の性能を上げるには、理想的なターゲットである7Liを使う場合、陽子線のエネルギーレベルが低く、大きな電流値(大量の陽子線の流れ)が必要となります。名古屋大学大学院工学研究科で開発中の静電加速器を使った中性子発生装置は、この性能を満たしています。NTRCでは名古屋大学の協力の下、この静電加速器を使ったBNCT技術を開発する予定です。図2.2016年第60回IAEA総会におけるBNCTの特別集会(2016.09.27)図3.新世代BNCT統合システムの開発計画 放射線治療の国際的なガイドライン策定は、世界保健連合WHOと1959年に協定を結び、国際原子力機関IAEAが担っています。岡山大学は2016年10月にIAEAとBNCTに関する教育研究に関する協力協定を結びました。なお、2016年9月のIAEA総会の期間中、特別集会「実験炉と加速器を用いた中性子捕捉療法の最近の進展Recent Advances in Boron Neutron Capture Therapy Using Research Reactors and Accelerators」がIAEAの担当部局と岡山大学が中心となって開催されています(図2)。岡山大学と名古屋大学は、ホウ素薬剤と中性子源の開発という役割分担をした上で、IAEAと協力して新世代のBNCTシステムの開発を推進しています(図3)。SauerweinVenkatesh Malavasi Altieri 市川 北野井川 鬼柳  Osso Jr

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る