大阪大学 大学案内2017
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特集教育システム教育環境インフォメーションPersonPersonよくある質問?! 保健学は、医学を基盤としつつ専門領域が多岐にわたる、まさに「人の健康についての多様性(ダイバーシティ)」をそのまま受け止めていく学問です。さまざまな領域の「知」を統合して組み立て直す「コンシリエンスデザイン」そのもののような領域とも言えます。 生活のなかで「病気」はとても身近なものです。早く発見するには、早く治るには、再発しないためには、どうしたらいいのだろう。普通、この病気はどういう経過をたどるのだろう。どういう理由で病気になるのだろう。どういう治療が効くのだろう。そもそも、この病気は日本に何人くらいいるのだろう。毎年、何人くらいかかるのだろう。どういう予防法が有効なのだろう。 また、「病院」も身近な存在です。お見舞いに行ったら、清潔で感じのいい病院だった。暗くて何かニオイがあった。外来が狭くて座れなくてしんどかった。医師や看護師が親切で、コンピュータを使っていろいろと説明してくれた。病棟での食事が思ったよりもおいしかった。隣の人のイビキがうるさかった。最新鋭の診断機器を使った治療が受けられる病院はどこだろう。慢性的な病気だが、丁寧に説明してくれて長く診てくれる病院はどこだろう。 「発達していく」とはどういうことだろう。睡眠は発達にどう重要なのだろう。テレビ番組の見方は、発達に従って変わっていくのだろうか。 「老いていく」とはどういうことだろう。高齢者でも管理が簡単な薬物療法は、どうやったら実現できるのだろう。加齢による「認知機能の低下」と病気との違いはあるのだろうか。目が見えにくくなるとはどういうことだろう。自動車の運転をしたらどう見えるのだろう。手が震える、しびれるのは何とかしてあげられないか。安全な立ち上がりや歩行動作、作業姿勢は判別できるのだろうか。ベッドからの転落は未然に防げないだろうか。 このようなことを知りたいと思ったら、一度にぜんぶ手をつけることはできませんが、あれこれと少しずつ積み重ねていくことで、あるときパズルが解けるように不明なところが埋まっていく、わかってくることがあります。人の世の問題は、見えないところでつながっているものだと実感します。そういうやり方で、私はこれまでいろいろな研究をしてきました。 上記のすべてに「正解」がわかったわけではありません。しかし考えてきた過程で、方法論として新たなものも提案でき、世界で初めての報告もしてくることができました。多様な分野の「知」を活かし、人の健康と向き合う研究。保健学が、今の日本人の長寿に大きく関わっている。 保健学には、普遍的な真理を追究していく面も、社会情勢や社会環境、生活している地域の自然環境など変化することも考慮し、発達や加齢という人間側の変化も考えながら変わっていく「正解」を探し続けていく面もあります。自然科学の発見や原理を、日常生活で使えるカタチにしていくのも保健学の使命のように思います。 本学の医学部保健学科には、「看護学専攻」があります。ここでは、保健学の中でも患者家族の視点に立ち、病院での治療支援や在宅での治療・療養支援、疾病予防や地域での社会医療提供などを学びます。もちろん看護師の資格も取得できます。保健学の視点からの研究は大学院が中心となりますが、私の研究室に所属する研究員や学生のバックグラウンドは、看護学、工学、理学療法、臨床工学とさまざま。また男性看護師も多く、留学生、社会人もいます。多様性は、互いを尊重することでもあるのです。 これからの社会では、ますます高齢者の安全な生活、健康維持が課題となります。また、病気を持ちつつ社会で生活していく人も増えていきます。そこに、介護福祉機器やICT機器など他産業の参入も始まっています。だからこそ、看護や介護の現場に役立つ新しい機器の使い勝手を、安全の視点から検討していく新たな学問領域が必要だと考え、“いま”私の研究室はそこを目指しています。多様なバックグラウンドは、そのまま多様な使い勝手、usabilityの評価につながるのです。 一方で、若い世代の生活習慣や環境を整えていくことも重要。食品の安全だけでなく、空気や水、光やニオイなどが健康に与える影響を定量的に評価していくことも必要です。 まだまだ多くの課題があり、早く解決しなければなりません。皆さん、ぜひ参加してください。安全な生活、健康維持のために、新たな学問領域を切り開く。大野先生はどんな高校生でしたか?博多で高校入学、蒙昧茫洋たる日々。2年の夏に東京へ。転入試験に青ざめ下町会話に驚く煩慮騒然たる毎日。QAさまざまな学問を融合、組み立て直したものが保健学の領域。7

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