大阪大学 大学案内2018
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特集教育システム教育環境インフォメーションPersonPersonよくある質問?! 大阪大学は、部局として独立した歯学部、大学院歯学研究科と歯学部附属病院を擁する、日本で唯一の国立大学法人です。このことからも、本学が日本における歯学教育、歯学研究、歯科医療を牽引するリーディングスクールたることを期待されているのがよくわかっていただけるでしょう。 皆さんは歯学部と聞くと、どのような学部をイメージされるでしょうか。おそらくほとんどの方は、「次代の歯科医師を養成する学部」と考えるでしょう。たしかに、歯学部の役割と責任を考えると、すべての学部生が歯科医師国家試験に合格することは、大切な目標のひとつです。でもそれだけでは、私たちが目指している目標を表現し切れているとは言えません。本学部では、卒業生が日本のみならず世界を舞台に活躍できる力を身につけ、これからの日本や世界が直面する諸課題に立ち向かって、歯学の立場からより良い未来を開拓してくれる高度な歯科医療人や優秀な歯学研究者へと育ってくれることを目標に掲げています。そのために、口について学び、その後、むし歯や歯周病といったよく知られた口の病気のみならず、口の中に発生するガンや奇形、さらに歯並びや顎顔面の発育、味覚、顎関節、咀嚼、嚥下など、すべての口の異常とその診断法・治療法について学び、それを医療として実践できる力を身につけてもらいます。また世界の先陣を切って高齢化社会を迎えようとしている日本にとって、高齢者、有病者、要介護者に対する歯科医療に貢献することも、これからの大切な課題になるでしょう。そしてその学びの過程で、学部生はいまだ解決されていない歯学領域の諸問題に気づき、自ら研究者としてその解決に当たりたいとの志を持つかもしれません。私たち歯学部・大学院歯学研究科には、その思いに答えることのできるさまざまな専門性を有する優秀な教員、卓越した環境が備わっています。歯学部に所属する教員と、学部生、大学院生が一体となって、世界中の人たちの「生きる」「食べる」「暮らす」を支えることに貢献したいと願い、日々実践しています。すべての人の「生きる」「食べる」「暮らす」を支えるために。 私自身は、歯周病という病気に関する教育、研究、専門的治療に関わっています。歯周病を知らない方はほとんどいないでしょうし、その原因が歯ぐきと歯の境界部に付着した細菌の塊(デンタルプラークと言います)であることも、よく知られるようになりました。さらに最近の研究から、歯周病とさまざまな全身状態が相互に密接に関連していることが明らかになってきました。口の中を清潔にすれば、歯周病の問題は一挙に解決しそうなものですが、発展途上国、先進国にかかわらず、歯周病で悩んでいる患者さんは依然としてたくさんいらっしゃいます。このような状況は、歯周病専門医、歯周病研究者として看過できません。発症する前に、一人ひとりの歯周病リスクを判定できないだろうか、歯周病で失った歯ぐきや骨を元通りに再生できないだろうか、といった重要な課題に現在取り組んでいます。 これまでに、「侵襲性歯周炎」と呼ばれる重度歯周炎患者さん(1,000人にひとりぐらいの頻度と考えられています)の全ゲノムを解析し、病気の発症に関わると考えられる遺伝子をいくつか見出すことができました。また産学連携では、「塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)」と呼ばれる成長因子を用いた“世界初・阪大発の歯周組織再生剤の開発”に、2016年に成功。さらに、医学部附属病院の先生と連携し、歯周病患者さんの腹部脂肪組織から採取した間葉系幹細胞を移植することによる、まったく新しい歯周組織再生療法の開発にも取り組んでいます。 歯や口の分野の専門家だけではなく、医学・薬学・工学系などの専門家の先生、さらには企業の研究者とも共同研究し、未来の歯科医療を変えようとしています。そして、「削る・詰める」といった、一般の方が歯科医療に抱くイメージを変えていきたい。あなたが、その未来の歯科医学・歯科医療を変革していく主人公になってくれるのを楽しみに待っています。世界初・阪大発の歯周組織再生剤の開発に成功。村上先生はどんな高校生でしたか?生物部に入って、ハイキングがてら野鳥の声を集めるなど、仲間と和気あいあいと楽しくやっていました。QA研究対象は「口」にまつわるすべて。世界初・阪大発の歯周組織再生誘導剤の効果(歯周病により失われた歯周組織の再生が誘導・促進されているのが観察される)。7

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