京都大学 大学案内2019
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京都大学の経済学部は、かつての経済学科と経営学科を統合した経済経営学科の1学科制であり、社会で密に関連しあう両学問を横断して学びます。但し、それには経済学と経営学、双方の基礎を固める必要があり、1年次に9つの入門科目を学びます(以下は各科目の学問概説)。経済学と経営学を横断して学ぶために双方の基礎と土台を固める9つの入門科目〈ミクロ経済学〉「ミクロ経済学」は市場のメカニズムに基づき、経済行動を分析する学問です。ミクロ経済学の起源は19世紀から20世紀にかけて登場した最大化原理を基礎におく完全競争モデルです。しかし現代経済は巨大企業の寡占化の様相が強く、完全競争モデルの虚構性が指摘されています。そこで登場したのが、将棋などに例えて意思を戦略的に決定していく「ゲーム理論」です。現代ミクロ経済学は、このゲーム理論を中心に据えることで、医療・福祉経済学、マーケティング経済学、情報・通信経済学、都市・交通経済学、企業・組織経済学、環境経済学など、最先端をいく応用経済学の基礎ツールとなっています。〈経営学〉「経営学」は幅広く、経営現象を研究する学問です。「経営」とはある目的を達成しようとする事業について、それを計画・指揮・管理する活動です。その対象は従来、民間企業が中心でしたが、近年は病院や政府、地方自治体やNPOなど、経営の質が問われる社会的事業体にも広がっています。また、企業においても自社の利潤追求だけでなく、ステークホルダーと呼ばれる多くの人々に利益をもたらすことが求められ、その経営システムは複雑化する一方です。その最適解を研究する経営学の理論体系も複雑化しています。このように実践の場でも、理論研究の場でも、難問・難題が山積していますが、そこに“経営する”醍醐味があるのも事実です。学びの紹介住友商事株式会社藤井 翔さん京都大学 経済学部 経済経営学科 2009年3月卒業兵庫県 甲陽学院高等学校 出身国土交通省三重野 真代さん京都大学 経済学部 経済経営学科 2003年3月卒業大分県 大分上野丘高等学校 出身唯一無二の場所「京都大学は京都にあるから京都大学なんだ」と聞いたことがあります。都だった千年の歴史の中で、さまざまな歴史をつくり、美しい文化を生み、私たち日本人の基礎を育んだ京都は、目に見えない大きな地場の力をもっています。そんな京都にある京大の経済学部で学ぶマーケットの価値観、京都がもっている哲学的・文化的な価値観は対極的ですが、両方を学べるここは唯一無二の場所です。実際、京都の四季を感じながら、自由でユニークで独立独歩の先輩・後輩・同級生・先生と語りあって得た考え方や価値観は今、地域振興、観光、交通、インフラといった“国づくり”の仕事をする私の大きな柱になっています。自分の可能性を切り開き、幹となる価値観を身につける唯一無二の時間、経済学部で過ごすことができますよ。Enjoy !!私は現在、総合商社で働いています。グローバルな社会貢献を目指す業務は多岐にわたり、非常に刺激がある一方、未知の領域に日々挑戦する必要があります。私自身、ペットや畜産動物の健康を通じて人々への癒しや食の安全の提供を目指す事業を担当していますが、学生時代には想像もしていなかった分野です。しかし、どんな時でもベースとなっているのは、間違いなく経済学部時代の経験です。勉学のみならず、先生、友人から人として多くの刺激を受けました。経済学部の自由な学風においては、何をするにも自分次第だと思います。特定分野を追求するもよし、広範な知識の習得に努めるもよし。学生時代だけでなく、将来に繋がる大きな一歩になるでしょう。Enjoy your life !!〈マクロ経済学〉「マクロ経済学」は経済活動を大きな視点から分析する経済学の1分野です。その大きな視点とは、分析対象が特定の個人、企業、産業の経済活動ではなく、国家経済や世界経済を見通すことを意味しています。そこで課題となるのは、なぜ経済は好況と不況を繰り返すのか、政府は景気の変動を抑制するためにどのような政策を採れば良いのか、なぜ先進国は産業構造の転換を果たし所得の増大を達成できたのか、それに対し多くの発展途上国が農業中心の経済構造から脱却できず低所得の状態にあるのはなぜなのか、等々の疑問です。マクロ経済学が取り組むのは、これらの疑問に正確な答えを与えることに他なりません。〈社会経済学〉「社会経済学」はスミス、リカード、マルクスなど、古典派と呼ばれる人たちの理論の総称でした。彼等は経済分野だけでなく、政治や文化などの分野にも広がる社会的視座をもつと共に、数世紀におよぶ歴史を考察する長期的視野をもっていました。しかし20世紀に入ると大量生産技術の成立といった技術面の変化、巨大企業の出現といった組織面の変化により、古典派経済理論の有効性は低下しました。こうした資本主義の変化をふまえ、新たな理論を創出したのがケインズとカレツキです。現代の社会経済学は、古典派経済学者たちの社会的歴史的視点とケインズおよびカレツキの理論を結合し、現代資本主義の構造や制度を分析していきます。経済学部卒業生からのメッセージ042KYOTO UNIVERSITY GUIDE BOOK 2019経済学部Faculty of Economics

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