京都大学 大学案内2019
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 人間に関する既存知をふまえつつ、包括的で根底的な人間理解をめざします。その方向は3つあり、第1は“思想”研究による人間存在の哲学的・倫理学的な解明、ならびに芸術など創造行為の歴史的な解明です。第2は“社会”研究による人間の形成や社会行動についての実証的・理論的な解明です。第3は“文化”研究による文学や映画などの文化現象に関する歴史的・社会的な解明です。これらは人間形成論、社会行動論、文化社会論、人間存在論、創造行為論、文芸表象論の6分野で成り立っており、その有機的な連関により、人間の知を刷新することをめざします。人間形成論、社会行動論、文化社会論、人間存在論、創造行為論、文芸表象論人間科学系認知情報学系 社会科学や人文科学の諸分野が柔軟性や他領域との連携性を失い、現代社会が直面する深刻な諸問題の解決に、対処できなくなっているとの指摘があります。その克服に向けて「国際文明学系」では、社会科学はもとより、日本・東洋・西洋の歴史と文化をふくむ人文科学の諸分野から選んだテーマに軸足をおいた研究に取り組みつつ、関連する諸学問を領域横断的に学びます。これらを通じ、真の意味での「ユニバーシティ」で学んだ者だけが体得する高度で幅広い教養(リベラル・アーツ)、柔軟な思考に裏付けられた専門知の習得をめざします。社会相関論、歴史文化社会論国際文明学系◆ボッティチェッリ『リベラル・アーツに導かれる若者』 背景は宇治分校正門(昭和31年)。◆MRIを用いた実験風景京都大学 大学院 人間・環境学研究科 助教江川 達郎さん京都大学 総合人間学部 認知情報学系 2007年3月卒業大阪府 近畿大学附属高等学校 出身シーメンス・ガメサ・リニューアブル・エナジー坂田 三太郎さん京都大学 総合人間学部 認知情報学系 2008年3月卒業東京都 筑波大学附属高等学校 出身道なき道を歩く練習総合人間学部には、カチッとしたカリキュラムがあるわけではなく、何を専攻にしようかと、もがく人もいると思います。私も色々と悩みながら、3回生の時にフランスに交換留学し、卒業が1年遅れたりもしました。これは短期的に見れば、非効率かもしれません。しかし、卒業から10年が経ちましたが、学部時代の回り道は、それほど悪いものではないと思います。現代社会において、これまでの「よくあるパターン」の人生を歩む人は、少なくなっているのではないでしょうか。逆に言えば、自分の歩む道を切り拓く力が必要です。総合人間学部ほど、この練習に適した学部はないでしょう。私は卒業後、日本でいわゆる安定した職業に就きましたが、30歳を手前に拠点をドイツに移し、何十カ国もの出身国の同僚たちに揉まれながら、現在は風力発電ビジネスに関わっています。学部時代のうちから、色々な学問分野や価値観に触れてきたからこそ、そのような思い切った決断や、曲がりなりにも異文化に適応しながらの仕事ができているのかもしれません。自分でレールを敷いたことありますか?大学は高校までの「教わる」場とは異なり「学ぶ」場です。特に、「教科書に書いてあることを教わる」場ではなく、「教科書に書いていないことを学ぶ」場です。しかし、昨今は大学の専門学校化が進み、主体性を無視した教える教育を行う大学が増えています。これは「わからないことは(教員が)教えてくれる」という最近の学生の考え方に応えようとするものだと思います。しかし、本来は「わからないことは(自ら)学ぶ」が大学生として正しいスタンスです。私の経験上、総合人間学部から何かを「教わる」ことはありません。「学ぶ」環境が整った貴重な学部だと思っています。総合人間学部に敷かれたレールはありません。自分でレールを敷いたことが無い人、目的はないがとりあえずレールを敷いてみたい人、レールを敷いて新しい知識を得ようとする意欲のある人、奇想天外なおもろいレールを敷いてみたい人、ぜひ総合人間学部をお勧めします。総合人間学部 人間相互や人間と環境の関わりは、脳や身体、言語等をインターフェイスとして行われ、脳内の認知機構と行動制御機構によって実現されています。これらを前提に「認知情報学系」では、人間の多様な創造性を深く理解することをめざし、人間の健康、脳の機能、人間の認知、行動発現、言語機能、その基礎となる運動・代謝栄養医科学、情報科学、数理科学など、人間や機械の情報処理システムを総合的に学びます。その過程で理系・文系という枠を超えた幅広い探究能力、人間の認識行動の包括的理解に基づく科学的で柔軟な思考能力を身につけていきます。認知・行動科学、数理情報論、言語科学、外国語教育論5学系の紹介卒業生からのメッセージ026KYOTO UNIVERSITY GUIDE BOOK 2019総合人間学部Faculty of Integrated Human Studies

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