金沢美術工芸大学 大学案内2017
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石田 陽介(彫刻)彫刻を始めてかれこれ40年近くになります。現代では彫刻という概念も広がり、様々な表現が試みられていますが、私の表現はもっぱら「人間」像です。この春に縁があって台北で個展を開催することが出来ました。近作を中心に20年程の作品を一堂に並べてみると自分でも気付かない、私の創作の核(コア)が見えて来た気がします。創作は一つひとつの積み重ね。ただ前を見て進むだけですが、折りにふれ自分を傍観して自身を再発見する。そこに芸術のもう一つの意味があるのかもしれません。星野 太(芸術学)今年度より、芸術学専攻の教員として美学・芸術学を担当することになりました。美学は、美・芸術・感性の三つを柱とする、良く言えば幅広い、悪く言えばどこか曖昧な学問領域です。通常、「美学」は哲学の一部門と見なされることが多いので、具体的な作家や作品の研究は、それとは区別して「芸術学」と呼び分けられることもあります。わたし自身、これまで美学・芸術学という学問の「節操のなさ」を地で行くかのように、著作や論文の執筆・翻訳、カタログや美術雑誌への寄稿、さらには同世代のアーティストとの協働作業を並行して行なってきました。おそらく多くの領域に言えることですが、「理論」は「実践」と触れあうことで、もっとも厳しくその価値を問われます。これから、専攻での演習はもとより、共通科目である「哲学」や「美学」の講義を通じて、皆さんと一緒に美学・芸術学の可能性を探求していきたいと思います。本学の専任教員の数は60名で、それぞれが独立したプロの作家、デザイナー、研究者です。活躍する分野はもちろん年齢も異なりますが、教育に熱い情熱を抱き、才能に溢れ可能性に満ちた若者と付き合うことに大いなる喜びを感じています。各専攻から1名ずつ、教員を紹介します。なお、本学の学生数が723名(2016年5月現在、大学院含む)であり、おおむね教員1人が受け持つ学生の人数は約12名という少数教育体制であることを付け加えておきます。仁志出 龍司(日本画)若い時から主に風景ばかりを描いていたのですが、近年は動物もよくモチーフにしています。白山山系沿いの拙宅には多種の野生動物が来るのですが一番のお気に入りはニホンカモシカです。走ると結構大きな地響音がし、垂直に近い擁壁も軽々と移動する野生の逞しさが有り、人等に出遭ってもあまり怯える事なく堂々としており、ゆったりと立ち去ります。未だ子供だと思っていた若い雌が、仔供を連れて来た。大森 啓(油画)私は四角いキャンバスにではなく、描かれるものの形をした変形パネルに絵を描いています。その絵が飾られるとき、描かれたものは画中の背景や額縁を介さず直接壁面を背負うことになります。その際、壁面を含む「現実空間」と絵の中にある「絵画空間」との間に、ある種のズレが生じます。このズレによって、我々は改めて絵画が平面であるということ、そしてその平面上に「絵画」という高度な文法によって様々な「空間」が構築されるということに気付くのです。私が今歩んでいるのは、絵画の奥深さや広がり、そしてこれからの可能性を証す無数のルート、そのうちの一路に過ぎません。ここで学ぶ学生たちが、未だ証せぬ「絵画」という大きな問いにそれぞれのルートで挑み、やがてかけがえのない独自の表現に至ることを絶えず願っています。初めての仔育puzzle赤粒藝術(台北):【氣韻生動 石田陽介人物雕塑展】共著『コンテンポラリー・アート・セオリー』(イオスアートブックス、2013年)教員の紹介

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