武蔵大学 大学案内2017
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02グローバル化(地球の一体化)グローバル・イッシュー(地球規模の問題)グローバル・スタディーズ(地球規模の視点をもった学問)課題解決のための提案や行動(在学中に。そして社会に出てから) グローバル・スタディーズとは、21世紀に驚くほど加速したグローバル化・ボーダレス化に対応する知力と実践力を備えた、グローバル市民を育てるための新しい教育研究分野です。現代社会には、国家や国境の枠組みに縛られずに取り組むべき問題や課題がたくさんあります。これをグローバル・イッシューと呼びます。たとえば、ヒトの移動は国交も国境も越えて生じています。また、大量の情報が日進月歩のICT技術によって瞬時に世界中に伝達・共有・拡散され、名前を聞いたこともない国や地域にも運ばれて現代人に利益と不利益の両方を与えています。気候変動・災害・紛争・テロリズムは、いうまでもなく国家の枠組みを超えた現象です。そして、文化・芸術・流行も猛烈なスピードで地球を駆け巡っています。企業活動もいっそう世界的に展開されています。一国の内政や外交も、こうした現象に対応して質的転換を遂げています。そして、NGO・NPOの活動もグローバル化しています。 私たちはいま、たとえ狭い地域社会に生きていても、グローバル化の大波に洗われています。交通手段の驚異的な発達は、ビジネスマンやツーリストを毎日大量に海外に(そして日本国内に)運び、刺激に満ちた交流や出会いをもたらしています。2020年の東京オリンピックも、そうしたチャンスを私たちに与えることになるでしょう。 私たちはいま、小さい町の商店や鉄道駅でも、学校や役所の窓口でも、さまざまな民族的・言語的・文化的・宗教的なバックグラウンドをもった他者と接していないでしょうか。ローカルコミュニティはグローバル化の影響をじかに受けており、その傾向はますます強まっています。私たちはいま、ダイバーシティ(文化的多様性)理解の欠如ゆえに起きる差別やヘイトクライム、ヘイトスピーチを見聞きし、悲しい思いをしていないでしょうか。そして私たちはいま、実践的な語学力の不足のせいで異文化世界からやってくる他者とのコミュニケーションに失敗し、残念な思いをしてはいないでしょうか。こうした状況こそが、グローバル・スタディーズの存在理由です。 武蔵大学のグローバル・スタディーズは、いつの時代も変わらない伝統的な人文学、つまり人間の歴史と現在を探究する学問(言語・文学・歴史・思想・美術など)の精神を受け継いでいます。それは短く表現すれば、「語学力」を鍛えて「文化理解」「人間理解」を深め、人間の喜びや悲しみに対する「共感力」を養い、他者とのコミュニケーション、交渉、説得、共同作業を推進することのできる人を育てる精神です。 グローバル・スタディーズを修めた人は、現代の社会、家族、企業、官公庁等において、それぞれの持ち場で必要不可欠な役割を着実に果たすことができると私たちは確信しています。グローバル・スタディーズは、大学の教室と現実の世界を往還する学問です。一人ひとりの役割は、全体のなかでは小さいものにすぎなくても、それらが交響曲のように一体になれば、人類社会の幸福の増進に寄与する大きな力が生まれるはずです。2017年4月、人文学部にグローバル・スタディーズコース新設。語学力と文化理解、人間理解と共感力 いつの時代も変わらないグローバル市民の条件 ■ 往還する「グローバル・スタディーズ」人文学部長 踊 共二(文学博士・歴史学者)

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