東京大学 大学案内2017
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沿革東京大学トピックス宇宙線研究所所長の梶田隆章教授が、2015年ノーベル物理学賞を受賞しました。小柴昌俊先生、戸塚洋二先生の志をしかと受け継ぎ、大きく実らせる形で成し遂げたのは、「ニュートリノが質量を持つことを示すニュートリノ振動の発見」。極小の素粒子の世界と極大の宇宙を結びつけ、人類の知の地平を拡大するこの研究は、現代物理学の骨格だけでなく、多くの人々の心をも揺り動かしました。宇宙線研究所所長の梶田隆章教授が、2015年ノーベル物理学賞を受賞しました。小柴昌俊先生、戸塚洋二先生の志をしかと受け継ぎ、大きく実らせる形で成し遂げたのは、「ニュートリノが質量を持つことを示すニュートリノ振動の発見」。極小の素粒子の世界と極大の宇宙を結びつけ、人類の知の地平を拡大するこの研究は、現代物理学の骨格だけでなく、多くの人々の心をも揺り動かしました。梶田隆章教授がノーベル賞を受賞しました――素粒子物理の基盤と人の心を揺り動かしたニュートリノ研究梶田隆章教授がノーベル賞を受賞しました――素粒子物理の基盤と人の心を揺り動かしたニュートリノ研究 2015年のノーベル物理学賞は、ニュートリノという素粒子が振動する(状態を変える)ことを実証する実験への多大な貢献により、日本の梶田隆章教授とカナダのアーサー・マクドナルド先生に贈られました。 梶田教授は、宇宙から降り注ぐ放射線が地球の大気分子に当たってできる大気ニュートリノのうちミュータイプのニュートリノが飛行中に変化することを、スーパーカミオカンデ検出器で明らかにしました。一方、マクドナルド先生は、太陽から飛来する太陽ニュートリノのうち電子タイプのニュートリノも同様に変化することを、カナダのサドバリー・ニュートリノ観測所で明らかにしました。両発見は、ニュートリノには質量がないという従来の定説を覆し、素粒子物理の世界に新たな地平を切り拓きました。 スーパーカミオカンデは、岐阜県飛騨市の地下1,000mに位置するニュートリノ観測装置です。直径・高さ約40mの円筒形の水タンクの内壁に約11,000本の光センサーが取り付けられており、5万トンの超純水が蓄えられています。スーパーカミオカンデにニュートリノが入ってくると、水の分子などとまれに衝突し、電子やミュー粒子を叩き出し、「チェレンコフ光」というリング状の光が放出されます。その光をセンサーで検出することにより、ニュートリノの方向や種類、エネルギーなどを観測することができます。 大気ニュートリノは、地球上どこの大気でも生じます。ニュートリノは物質とほとんど衝突しないので、地球の裏側で生じた大気ニュートリノも途中で止まることなくスーパーカミオカンデまで飛んできます。したがって、スーパーカミオカンデではあらゆる方向の大気ニュートリノを観測することができます。 1998年、梶田教授をはじめとするスーパーカミオカンデグループは、大気ニュートリノの観測から、地球の裏側で作られて長い距離を飛んできたニュートリノの数が、検出器のすぐ真上から降ってくるニュートリノの数に比べて、約半分しかないことを発見しました。 これは、ニュートリノが飛んでいる間に別の種類のニュートリノに変身してしまう「ニュートリノ振動」という現象によるものでした。地球の裏側で生まれたミューニュートリノが地球内部を走っている間に、タウニュートリノに変身してしまったため、ミューニュートリノが減っているように見えていたのです。 ニュートリノ振動は、ニュートリノに質量があるときにだけ起こる現象です。したがって、ニュートリノ振動の発見は、ニュートリノがゼロでない質量を持つという決定的な証拠となりました。スウェーデンのカール16世グスタフ国王からメダルと賞状を受け取る梶田教授スーパーカミオカンデの内部©Kamioka Observatory, ICRR© Nobel Media AB 2015 / Pi FriskTHE UNIVERSITY OF TOKYO 201705

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