東京大学 大学案内2018
61/76

THE UNIVERSITY OF TOKYO 201859大学院人文社会系研究科 修士課程2年先輩からのメッセージ好奇心が育つ場所入った私の専門分野が今のように具体的なものになったのは、主に学内、時に学外で他の学生と議論し、自らの研究の目標や意義を何度も問い直した結果です。こうして学生同士が互いに研鑽し合えるのは、東京大学の一番の長所だと思います。 こうして思い返せば、私を今の専門へと連れてきてくれたのは、私自身の決断というより、東京大学という特別な環境だったようです。それは、好奇心をもつ者にとっては唯一無二の、とても刺激的な環境です。ここで、ぼんやりとした知的好奇心の行方が、明確な研究対象へと昇華したのでした。みなさんもきっと、何かへの興味、関心を心に抱いていることでしょう。ぜひ、その興味、関心を内に携え、大学という場に来てほしいと思います。村田 優樹 むらた ゆうき教養学部文科三類入学文学部歴史文化学科西洋史学専修課程進学ミュンヘン大学留学人文社会系研究科入学PROFILE2011年2013年2014~2015年2016年自宅本棚ウクライナの首都キエフの独立広場 私は、西洋史学研究室で、19世紀末から20世紀初頭くらいの時期のウクライナの歴史を勉強しています。高校生の私は、ウクライナという国の場所すら知っていたかどうか――わずかな読書体験の結果ロシア文学とトロツキーにかぶれた状態で東大の文科三類に入り、第二外国語にロシア語を選択したのが、今の専門と出会う最初のきっかけでした。 好奇心だけがとりえだった私のような人間には、様々な分野の講義を選択できる前期教養課程は最高の環境でした。ロシア語に熱中しつつ、その他にポーランド語、チェコ語、ラテン語などを学びました。ある講義でウクライナの歴史の複雑さ、それゆえの興味深さを教わり、それからウクライナやその周辺地域の歴史についてたくさん本を読みました。そして、講義を受け持つ先生は各分野の第一人者で、その先生たちの魅力が、私に研究者の道へ進むことを決断させました。進学振分けの直前には、どちらも面白すぎるという理由で、文学の道に進むか歴史学の道に進むか、しばらく悩んでいました。 研究室に入ってからは、同じ西洋史学を志す学生との交流が増えました。漠然としたウクライナや東欧界隈への関心とともに研究室に放って置かれる環境に私が医師になっていたとしても同様の気付きがあったことと思います。(実際に、同期によると、医師にとって重要なのは医学知識だけでなく「雑談力」らしいです。) 東大の教育には、必要最低限の干渉で放っておいてくれるという特色があります。おそらく、放っておいても良いような、基礎学力の素地が有り、多才で多様な同期、先輩そして後輩がいるということが、この大学の最大の強みだと思います。この自由な環境でとりあえず、周りの人達の真似をしてみるというだけでも様々な発見があります。だからこそ、僕自身もこのような変わった進路を取れたのだと思っています。 この歳になると、「少年老い易く学成り難し」という言葉を実感します。是非、全力で努力されて今のうちに真摯にしかし要領よく、知識やその活用法を身に着けて下さい。勉強して良かったと思えるときがきっと来ますので。坪山 幸太郎 つぼやま こうたろう大学院新領域創成科学研究科 博士後期課程 高校生の頃、当時小学生だった自分が未来の自分にあてた手紙が送られてきました。その中には「目指すは理科です」と書かれていました。受け取った高校生の自分は、日本の座学中心のいわゆる詰め込み教育により、理科への興味を失っていました。現実的なことを様々思案し、医学部へ進学しました。が、結局もとに戻って研究者を今は目指しているので先のことはわからないものです。 高校生の頃は、様々な教科、漢文古文から化学物理まで学習することが求められ、その意義について考えることもなく、ただ求められるがままに勉強しましたが、これらはどのような方面に進むにしても役に立つものであったことに、今になって気付かされています。 現在、私は顕微鏡を用いて生物中のタンパク質がどのような挙動を示すかを観察しています。研究を行っていく上で勿論生物の知識は必須ですし、化学反応式などの化学の知識、顕微鏡の光路を組むための物理の知識、取得した顕微鏡の画像を解析するための数学の知識、結果をまとめて説明する国語力、更に外国の方々に説明する英語力が必要になります。また、そのような方々と日本文化など研究以外の雑談をするには日本史や古文漢文での知識が役に立ちます。仮教養学部理科三類入学医学部医学科進学新領域創成科学研究科入学PROFILE2010年2012年2016年総長賞を頂いた際のプレゼンテーションの様子全反射顕微鏡(TIRF)という種類の顕微鏡。これを用いてタンパク質の挙動を観察している

元のページ  ../index.html#61

このブックを見る