東京大学 大学案内2019
61/76

THE UNIVERSITY OF TOKYO 201959詩人恵泉女学園大学ほか 非常勤講師先輩からのメッセージチャンスをくれる場所 私は現代詩人の登竜門として知られる中原中也賞という賞を受賞し、同賞の受賞により東京大学総長大賞をいただきました。中原中也賞の記者会見で、私にとっての詩(文学)とは何かと聞かれ、「子供時代の私の唯一の居場所」と答えました。しかし、総長大賞の受賞の知らせ聞いて、お世話になったたくさんの先生方や一緒に研究をしてきた友人たちが自分のことのように喜んでくれた姿を見て、東京大学という場所はいまもこれからも私の居場所なのだと気づきました。 現在は、博士論文の仕上げをしながら、新聞や雑誌などの媒体で詩やエッセイ、書評などを執筆しつつ、教育学や詩の創作に関する講義を大学などで担当しています。私を見守りながらたくさんのチャンスをくれた東京大学には本当に感謝しています。野崎 有以 のざき あい東京大学大学院教育学研究科修士課程入学東京大学大学院教育学研究科博士課程進学第53回現代詩手帖賞受賞第一詩集『長崎まで』(思潮社、2016年)によって第22回中原中也賞受賞平成29年度東京大学総長大賞受賞東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学PROFILE2008年2010年2015年2017年2018年2018年総長大賞を受賞した際のプレゼンテーションの様子中原中也賞贈呈式 私は家政学の歴史や戦後の特に高度経済成長期の家庭科教育に関する研究をしています。具体的には、考現学の提唱者として知られる今和次郎の家政思想を軸とした検討を行っています。また、研究と並行しながら2013年頃より詩作を続けています。研究と詩は、別物と思われるかもしれません。しかし、東京大学に入学しなかったら、私は詩人になっていなかったと思います。私は現代詩手帖賞という賞を受賞して、詩人になりましたが、そもそもその『現代詩手帖』という雑誌を知ったのは指導教員であった川本隆史先生のゼミにおいてでした。 大学院では興味のある授業には分野を問わず何でも参加していました。振り返ってみると、そうした経験が現在の自身の研究やその他の活動に何らかのかたちで結びついていることを感じます。たとえば私は、近代文学の安藤宏先生の演習に修士1年の頃より参加させていただきました。そこで近代詩や現代詩に関心を持つようになり、かつて大学近くにあった立原道造記念館のパンフレットをもらうために行った建築学科の図書室で今和次郎の著作と偶然出会い、いまに至ります。探求と出会いの場ることなので、今私に見えているこの線も、記憶改ざんの産物なのかもしれません。しかし、過去の経験、特に人との出会いがあって今の自分があることは疑いようがないと思えるほど、これまでの出会いは私に大きな影響を与えてくれました。熱く学問について語る友人がそばにいて、自分も語れるものを持ちたいと思わせてくれたおかげで、もどかしさに飲み込まれることなく、これだと思える学問分野を探し続けることができました。また、今、心理学研究の面白さを味わうことができているのは、心理学と研究の魅力を伝え続けてくださる先生方や、志と遊び心をもった友人に囲まれているおかげです。 これからも、一つ一つの点の繋がりを感じながら、面白いと思うものを探求し続けていきたいです。柏倉 沙耶 かしわくら さや大学院総合文化研究科 修士課程1年 私は今、大学院で人の心の研究をしています。「全ての根源は心にあるのでは」という漠然とした思いを中学生のときに抱いたことが、研究の原点になっていると感じています。しかし、そこから今に至るまでは回り道の連続でした。中学高校の間に志は紆余曲折し、大学入学後も様々な学問分野に目移りしながら、これだと思えるものには出会えず、もどかしさを抱え続けていました。そして、大学の後期課程に進学してようやく、心理学という学問分野と今の研究室に出会うことができました。 後期課程進学後、人の心とそれを作り出す脳の仕組みを学ぶことで、人間、すなわち、自分自身に対して抱いていたイメージが次々と打ち砕かれていくことは爽快でした。自分の脳のあまりにも単純な仕組みに呆気にとられることがあったと思えば、脳の仕組みの謎が深すぎるあまり、今目の前に見えているものがそのように見えていることが奇跡のように感じられることもありました。 研究を始めてからは、それまで点として存在していた過去の経験が、線となって今に繋がっていると感じることが何度もありました。もちろん、私たち人間が記憶改ざんのエキスパートであることは心理学研究ではよく知られてい教養学部文科三類入学教養学部統合自然科学科認知行動科学コース進学総合文化研究科入学PROFILE2014年2016年2018年研究室がある廊下研究室がある建物

元のページ  ../index.html#61

このブックを見る