東京大学 大学案内2019
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THE UNIVERSITY OF TOKYO 201955 学部3年次に、フランスのパリ政治学院への交換留学プログラムに参加しました。 パリ政治学院は、政治学では世界屈指の学校の一つです。パリの中心に位置し、学生のおよそ半数が留学生という国際色豊かな学校でもあります。9ヶ月間の留学中は苦労も多々ありましたが、専攻と関係のない政治思想などの授業を履修の上限まで詰め込んで勉強に没頭したり、休暇になれば友人とサハラ砂漠からアルプス山脈まで様々な場所を訪れたりと”Work hard, play hard”な充実した時間を過ごすことができました。 自分を変えたければまず環境からと言いますが、留学を振り返ると実感を伴って肯定できます。勉強や生活の環境も人間関係も、全てが変わることで多くの自分の「当たり前」が解体され再構築が促されるとともに、自己理解も深められました。こうして得た大きな学びの一つに、「人間はある意味真にどのようにでも生きられる」ということがあります。日本で漫然と生きていると、学校に通って何らかの形で日本の社会に出て働いて…という多くの人が歩むであろう人生の大枠を疑う機会は滅多にありません。一方、留学中に出会った友人には、国外の戦地で命がけのボランティアをして来て国際NGOでのキャリアを志すレバノン人や、難民として逃れてきてパリ政治学院に入学し新たな人生を踏み出そうとしているアフガニスタン人など、自分とはかけ離れ留学 (派遣) 経験者経済学部金融学科 4年堀 澄紀 ほり すみき自己解体と再構築を経て知らない世界へどっぷりとた人生を送ってきている人たちが多々いました。こうした友人らと学内外で多くの時間を過ごせたことで、当たり前だと思っていた自分の人生が実は無意識なものも含めて選択の連続であったことを自覚し、逆説的に自分はいかようにも人生を築けるのだということを強く認識することができました。「留学」という言葉の響きには何か特別なものを想像してしまいがちですが、個人的には留学を通じて人間性の土台となる部分を涵養できたように思い、そちらの方がむしろ自分には得難い財産となりました。 留学の意義は、人によって千差万別です。無条件で薦めることはしませんが、少しでもこの文章を読んで興味を持ったなら、是非積極的に色々な情報を集めてみてください。 東大で学ぶだけでも、見える世界は広がりました。でもまた一歩踏み出すと、もっと違う世界が広がっているのかもしれません。大学入学当初、日本で生まれ育った私にとっては1年間の留学など「とんでもない」ことでした。英語は大学入試のために勉強していた程度で、正直なところ、それ以上のものではありませんでした。 そんな私がオランダのライデン大学に留学を決めたのは、ひとえに好奇心からでした。オランダ人がどんな生活を送っているか知りたい。将来どんな仕事をしようかと考え始めた大学1、2年生の頃、大学を卒業して就職したら、毎日朝から晩まで働くのが「普通」である日本社会に疑問を持ったことがきっかけです。幸運なことに、当時駒場でこのようなテーマを扱ったゼミの先生がオランダを紹介してくださり、興味を持った私は夏期短期留学を経て交換留学を決めました。留学中は多くの課題に追われながらも、授業やサークルで知り合った友人とオランダと日本の違いについて語り合い、遊び、時には彼らの家にもお邪魔させてもらいました。 ところで、チューリップや風車の国オランダは、国民幸福度の高い国でもあります。その理由は様々ですが、私はやはり仕事と生活の関係性もその1つではないかと思いました。例えばオランダでは、正社員でありながら勤務は週3日といった柔軟な働き方も広く認められています。平日でも18時半には家族交換留学 (派遣) 経験者教育学部比較教育社会学コース 4年戸髙 南帆 とだか みなほ 愛用の自転車友人とランチサハラ砂漠にて学生オーケストラの友人と郊外にはひつじがゴロゴロアルプスでスノーボードで食卓を囲むのが一般的で、ゆとりのある時間が流れているようでした。一方で、それらはオランダの文化や歴史、国民性といった様々なものに支えられて成立しており、安易に真似できるものではないことも感じました。例えば、毎日の食事はサンドイッチや煮込み料理がメインとなり、準備にかかる労力は少ないですが、質素である分、日本人が毎日食べるには物足りないかもしれません。 同じ人間なのに、全然違う仕組みで回っている社会があるということ。私は留学を経て、「常識」や「周りのみんなが言ってること」は絶対ではなく、いかにその社会が決めているものであるかがわかりました。そして留学は、知らない世界へどっぷりと浸かることで、初めて見えてくるものがあることを実感した経験でもありました。留学生・留学経験者の声

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