東京大学 大学案内2017
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THE UNIVERSITY OF TOKYO 201755 医学部医学科ではElective Clerkshipという自由に実習先を選択できる期間があります。かねてより基礎医学研究に興味のあった私は、海外の一流の研究室で最先端の研究を直に学びたいと考え、自主的に研究室にコンタクトを取りました。そして幸いにも2016年1月にFeng Zhang Lab, Broad Institute of MIT and Harvard、2016年2月にThomas Südhof Lab, Stanford University School of Medicineと2つの研究室に研修生として受け入れていただきました。 Zhang Labは、ゲノム編集技術CRISPR systemの分野で次々と世界に革新をもたらしている研究室で、研修ではその新しいツール開発の一部を学びました。一方、Südhof Labは神経科学のsynaptic researchで世界をリードし続け、2013年にThomas Südhof教授はNobel賞を受賞されています。Südhof LabではES細胞やiPS細胞をneuronに分化させるプロトコルを学びました。どちらも医学研究や医療への応用に大変期待の高い分野であり、その最先端の知見について、論文や学会発表だけでは知りえない実際の研究現場を自分の目で見てそれに関われたのは、まさに千載一遇の機会でした。また、様々なバックグラウンドを持つ熱心な研究者や留学生と交流でき、彼らが積極的に議論する様子や、仕事とプライベートをうまく両立させている様子に大変感銘を受けました。 さらに、実際に異国の地で生活しコミュニティの一員になるからこそ学べたことも数多くありました。最先端の研究に触れたい一心で留学しましたが、留学から得た留学 (派遣) 経験者医学部医学科6年後藤 愛佳 ごとう まなか研修後farewellpartyを開いてくださったZhang Labの方々学術的・人間的成長の場大学生時代は直感に従う留学は中心から外れるいい機会ものはそれをはるかに超えていたのです。例えば、既定の研修プログラムも生活の場も何もない環境では、当然自分の意見や要望を周囲に伝えないと何も前進できない状況でしたが、正しく誠実に伝えれば真摯に取り合ってもらえることを学び、それを体得できました。また、『人種のるつぼ』アメリカでは多種多様な文化や価値観が混在すること、東海岸のBostonと西海岸のStanfordでは同じアメリカと思えないほど趣を異にすることなどを肌で感じることができました。 留学のハードルが高いのは事実です。しかし、このように比較的自由に留学できるのは大学生の特権ですし、東京大学には世界的に活躍する教員をはじめ、多くの奨学金や交換留学プログラムなど、留学を力強く支援してくれる環境があります。実際、学内の知人には様々な手段で留学に挑戦してきた人が数多くいます。少しでも留学に興味のある人は、日頃からアンテナを張り、学術的にも人間的にも大きく成長できるチャンスを掴んでいただきたいと思います。 大学生時代は直感に従う。留学は中心から外れるいい機会。 一年間、シドニー大学に留学していました。留学を決めた理由は3つあって、「英語力を高めたい、色々なバックグラウンドを持った人と知り合いたい、人種主義について勉強がしたい」……というのは留学の学内選考の応募書類に書いたことであって、これらももちろん本心なのですが、直感的にずっと留学がしたかったから、というのが曖昧だけれど一番正直な理由です。 大学生時代は、自分の直感とか、ときめきとかに従って、ビビビときたものに挑戦できる(しかも失敗もわりと許される)絶好の期間なのではないかと思います。もちろん他人に多大な迷惑や害を与えない範囲で。大学生活が残り僅かになって、大学生活を振り返ってみると、わたしはこの「ビビビ挑戦チャンス」を逃したこともある気がします。こういうイベントがしたい、とかあのサークルに参加してみたいとか、ときめきはありながらも、細かい忙しさや勇気のなさで断念したものも割とあります。だからこそ、これから大学に入る人には自分の直感やときめきを無視せず色んなことに挑戦してほしいと言いたいです。 チャンスを逃すことも多かった私ですが、一年間のシドニー大学への留学は直感に従って挑戦して本当によかったと思っています。理由はいろいろありますが、最大の理由は、オーストラリアにおけるアジ交換留学 (派遣) 経験者教養学部教養学科地域文化研究分科4年木嶋 弓子 きじま ゆみこ 履修した授業の一環で、ブルーマウンテン登山ウルルでラクダに乗った時ア系留学生という社会的マイノリティの立場になって、日本における社会的マジョリティの立場にいたままでは想像できなかった視野や価値観を得られたからだと思います。わたしは両親とも日本人で見た目も典型的な「日本人」で、東大の女子生徒ということ以外は、日本において社会的にマイノリティの位置に置かれることは割と少なかったのですが、シドニーでは私は「アジア系留学生」というマイノリティグループの一員でした。そのグループのステレオタイプに基づいて判断されていると感じることも多く、そのため時にイライラしたりもしましたが、私も日本にいるマイノリティグループの人をそのグループに対する先入観で判断してしまってはいないか、と気づくことができました。例えば「外国人」の人に対してその国籍に基づいて無意識的にその人の性格までも判断してしまったこともあると思います。留学は多かれ少なかれ、日本にいるときとは異なる立場に置かれるはずで、それは違った立場の人のことを考える想像力を養うと思います。留学がときめくことであれば、おすすめします!留学生・留学経験者の声

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