日本獣医生命科学大学 大学案内2017
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研究について詳しく知りたい人は → P20、21、22へ獣医学科動物の健康を守るスペシャリストを目指す犬や猫の新たながん治療薬の開発 私の研究テーマは、犬や猫のがんに対する「がん幹細胞標的療法」の研究です。がん幹細胞とは、がん細胞のうち幹細胞(さまざまな臓器や組織の元となる細胞)の性質をもった細胞のこと。がんの発症だけでなく、再発や転移にも重要な役割を果たしています。がん幹細胞は化学療法や放射線療法に抵抗性を示すため、従来の治療法ではがんを根治することはできません。そのため、がん幹細胞を標的とした新たな治療法の開発が求められています。この研究では、犬や猫の乳がんに焦点を当て、乳がん幹細胞を特定し、その増殖を抑える薬剤の絞り込みを行ってきました。現在は、乳がん幹細胞を移植したマウスに薬剤を投与して、その効果や副作用について観察を続けています。今後はさらに研究を進め、臨床応用につなげていきたいと思います。がん幹細胞近年、がん研究においては「がん幹細胞」が注目されています。がんを完全に治療するためには、“がんの親分”とも言うべき、がん幹細胞を根本的にたたく治療法の開発が必要。これを狙い撃ちできる薬を探索しています。獣医学科5年次香取優希FACEがん幹細胞獣医病理学研究室獣医保健看護学科実用的な研究成果を追究し獣医療の発展に貢献する比較遺伝学研究分野研究について詳しく知りたい人は → P28、29へイヌ前立腺がんの発症メカニズムの解明 私の研究テーマは、「前立腺がん関連遺伝子SGTAイヌホモログの構造および機能解析」です。犬の前立腺がんは発症例が少ないため、明確な発生メカニズムが解明されておらず、有効な治療法も確立されていないのが現状です。ヒト前立腺がんの発生および生育は、男性ホルモンであるアンドロゲンとその受容体を介した細胞内シグナル伝達(ARシグナル伝達)によって起こることがすでに解明されていますが、私は研究の過程で「SGTA」というたんぱく質が犬の前立腺がんの発生・進行に深く関与している可能性に着目しました。研究の結果、SGTAがARシグナルを抑制することを明らかにして、SGTAを標的としたイヌ前立腺がんに対する新しい治療法開発への道筋を拓くことができました。イヌ前立腺がん犬の前立腺がんは、発見時にはすでに進行した状態であることが多く、犬も飼い主もつらい思いをしなくてはなりません。この研究が、新たな薬や治療法の開発に役立ってほしいという思いで研究に取り組んでいます。大学院獣医保健看護学専攻博士前期課程1年次加藤 由比子FACEイヌ前立腺がん6FACE ResearchSPECIAL FEATURE : 02

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