日本大学文理学部 学部案内2017
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 インドの宗教・哲学に関する主要な古典を原語で講読することを共通課題とする一方、各自の研究テーマに基づいて定期的な研究発表を義務づけ、個別的な指導を行ってきましたが、ここ数年は、宗教学研究における基本文献やゼミ生の研究分野に関する文献の講読をメインにしました。また、各自の研究発表は、卒業論文の作成に向けた指導でもあります。参考までに、近年の卒業論文のテーマとしては、原始仏教、禅と日本文化、神道、言霊思想、チベットの『死者の書』に関する研究などが取り上げられていますが、今までにも、仏教以外の東洋思想全般はもとより、東西の神秘思想に関する研究なども卒業論文のテーマとして指導にあたっています。合田ゼミ(宗教学)小林ゼミ(宗教学) このゼミは、「宗教」を「聖・俗」論の視点から考えようとするゼミです。デュルケムによれば「宗教」とは「世界を一つはあらゆる聖なるもの、他はあらゆる俗なるものを含む二領域に区別すること」(『宗教生活の原初形態』岩波文庫、一九四一年、上巻、七二頁)を特徴とするものです。たとえば、教会や神社のような聖なる場は日常的な俗なる場と区別され、ミサや祭りといった聖なる時はやはり日常的な俗なる時と区別されると考えられます。こういったことはキリスト教のような個別の宗教に限らず「宗教」全般にみられる特徴だというわけです。このゼミでは「聖・俗」論にかかわる新旧の諸文献を学び、さらに現代社会における聖なるものの在り方を考えるために聖地などの観察も実施しています。インド大乗仏教の唯識学派を体系化したアサンガ(無著)の思想を中心に研究しています。ブッダに始まる仏教において、われわれの「心」をどのように捉え、いかにして「悟り」を実現するかが根本課題となってきました。講義・演習では、仏典講読はもとより、インド思想史、インド仏教史、パーリ語、さらに仏教への心理学的アプローチ、東西の神秘思想など、多角的なテーマの考察を試みています。また、私の恩師の影響もあって、個人的には冥想や氣功などの東洋的な身体技法にも関心をもち、実践も試みています。さらに東西の神秘思想に見られる人間観や東洋思想の影響も受けて展開した新しいトランスパーソナル心理学・精神医学の領域にも関心を抱いています。合田秀行(教授) 仏教学・比較思想宗教とナショナリズム、グローバル化とのかかわりに関心をもち、キリスト教、沖縄を中心課題として研究をすすめています。宗教が解放(救い)をもたらす側面よりは、統合や支配・抑圧をもたらす側面に興味があります。キリスト教など諸宗教の神話や思想あるいは儀礼が集団を統合し、「われわれ」意識を作り出して支配構造を正当化する、そういったことに興味をいだいています。また沖縄以外でも現代日本の地域社会で宗教が果たしている役割について興味をもち研究しています。小林紀由(教授) 宗教学・キリスト教●11

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