尾道市立大学 大学案内2019
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Art & Design89相沢さんドローイング 78×54.6cm 紙・ペン・油絵具3年次前期課題 F80卒業制作 φ170cm 「ほこり」「うぬぼれ」 虫が視界に入ったり触れたりしてゾワッとした経験がみなさんにもあるでしょう。そういうものには関わりたくないと大抵の人は嫌悪し過度に反応してしまうはずです。しかし、人の視点で考えなければ、私たちが嫌悪している対象と私たちの間に大きな違いはない…そのことに気付いた私は、命が合わせ持つ美醜を形にし、人とそれ以外の生命を結び合わせる作業を、油絵を通して行っています。 高校時代から一貫してこのテーマに向き合ってきましたが、一向に納得できる表現方法を見つけられず、長い間迷いながら絵を描いていました。そのため、与えられた課題の中でいかに自分の制作に繋げ、方法を探るかが肝でした。 それでも、媒体にこだわらず油絵と並行して立体や映像にも手を伸ばしていましたが、描き続けていくうちに自分が自然物の持つ有機的な曲線に惹かれていることに気づいたのです。人や木、虫や地表など、複数のイメージを連想させる線を描くことで、それらの繋がりを絵にできるのではと思い取り組みました。結果、油絵で描きたいものを見つけることができ、大学院でも油絵を描こうと決めました。裸婦の他に、踊るパフォーマーをみんなで囲んでドローイングする課題があり、いろんな意味で刺激的です!素早く動く相沢さんを捉えるにはスピードと即興性が求められました。 しかしこれが突破口になり、抽象表現ができるようになったのはこの機会が大きいような気がします。この絵は休憩中の相沢さんと踊っている相沢さんがまるで別の生き物のようでその対比を絵にしました。部屋の壁に鏡が取り付けられており、鏡と鏡の境目で人が切れていたり半分消えたりしてどこか幽霊的なものを思わせる空間になっていました。この作品から髪の毛を立体的に描くようになり手応えを感じるようになりました。 また、 鏡に映る像の断片を、紙を貼り合わせて表現したら気分が乗って油絵に繋がりました。ドローイングの大切さを知ったのはこの時だと思います。卒業制作では日頃から描き溜めていたスケッチをもとに体毛を虫っぽく描いてみました。袋に油絵具を詰めて絞り出しているので立体的な線になっています。見た人には気持ち悪い!と言われますが日常の中で起こるゾワッという感覚を想起させる絵が描けました。これまでの試行錯誤が実を結んだように思います。大学院美術研究科1年坂梨 好香

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