尾道市立大学 大学案内2018
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研究室紹介060文芸創作 文芸創作を教えていると言うと、しばしば「文芸創作って授業で教えられるんですか?」と驚かれます。その答えは、イエスでありノーでもあります。 受講する学生にも必ず話すのですが、『何を書きたいか』については自分で模索し、つかみとっていくしかありません。その意味では「他人に教えることはできない」といえますし、そこにこそ創作という営みの一番の面白さがあります。 しかし『書きたい内容を的確に伝えるにはどう表現すればいいか』については、経験者から教えられることがたくさんあります。たとえば陸上競技で、コーチにフォームを習ったらとたんに記録がぐんと伸びた。そんな経験はありませんか?文芸創作にも同じことがしばしば起こるのです。 そんなわけで文芸創作の授業では、「自分が本当に書きたいことを書くために効果的な『フォーム』を身に着ける」のを目標に、様々な課題に取り組んでいます。私がこれまでの執筆経験から体得したコツも、できるだけわかりやすく伝えるようにしています。こうして身に着けた文章力は、ゼミでの創作活動だけでなく、社会に出てからも大いに役立つことでしょう。 光原ゼミの主な活動は、先生から与えられるお題に沿って小説を書き上げること。そして、でき上がった小説をゼミ内で見せ合い、意見の交換を行うことです。課題の例としては、「味課題」というものがあります。文章による描写を練習するため、好きな食べ物を「おいしい」という言葉を使わずにおいしそうに書くという課題です。ほかの人の作品を読んでいると、どれも本当においしそうに描かれていてお腹が減ってくるので「飯テロ課題」と言われているとか。 これらの活動を通して、他人から自分の文章がどう読まれているのか、どうしたら伝わりやすくなるのかなどを学ぶことができます。これまで一度も小説を書いたことがないという人でも、書いてみたいという思いがあれば大丈夫です。 私は『尾道草紙』(68ページ参照)に参加し、作品を載せて頂きました。その年の『尾道草紙』を読んだ声優の大原さやかさん(話題の映画『君の名は。』で宮水二葉を演じた著名な方です)が、ありがたいことに私の作品をご自身のインターネットラジオ番組にて紹介して下さいました。「月の音色」という、大原さんが選んだ作品を朗読なさる番組です。自分が書いた作品が音声になって再生されると、同じ作品でも文字で読むのとは違う印象に変わるのだということを知る機会になりました。4年 小池夏美 文芸創作ゼミに所属して最終的に目指すのは、四年生で取り組む「卒業制作」です。これまでやってきたことの集大成として、一本小説を書いていくことになります。ゼミでの課題とは違い、特に先生からお題を提示されることはありません。自分が好きな物語のジャンル、描いてみたい舞台や登場人物――など、その人ならではの切り口から、自由に構想、執筆していきます。卒業の必須課題であり、大学生活の集大成ですので、書く苦労はさらに大きなものとなるでしょうが、その分自分の物語を語りつくす喜びも大きいはずです。 小説を書く上では、その物語を人に伝えられるような文章を書いていくこと、多くの人に作品を見てもらうという意識を持つことも大切です。その意識を持つ訓練の意味で、二年生三年生の間に様々な文学賞に応募することも奨励されます。ちなみに私は中国新聞社主催の「中国短編文学賞」に応募した際、一次選考を突破することができました。次回はさらに上を目指します。4年 田端敏之授業風景 日本文学科・教授光原 百合

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