尾道市立大学 大学案内2019
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研究室紹介054 専門は日本近世文学(江戸時代の文学)です。特に、読本(よみほん)、実録(じつろく)といった、現代で言えば冒険、怪奇、恋愛小説という要素が強いエンターテイメントを中心に扱っています。その作品のおもしろさを、対象とする書物の形態、挿画などを含め分析し、当時の読者の視点で評価しています。例えば読本と言うと、『雨月物語』や『南総里見八犬伝』などが有名ですが、それ以外にもたくさんのものが出版され、それらのほとんどは現代でも翻刻(現代の文字に直して読みやすくすること)すら行われておりません。高校の古典の授業でもあまり取り上げられない江戸時代の文学ですが、その魅力をお伝えしていきたいですね。 授業では、現代の小説やマンガなどとも比較しながら、導入はわかりやすく、しかしその深さを伝えられるようなものを目指しています。 2017年度の近世文学専門演習では、前期・後期共に、草双紙と呼ばれる、江戸時代に出版された絵が主体の読み物を取り上げました。 例えば、前期に取り上げた、赤本と呼ばれる子供向けの草双紙には、自分たちに馴染みのある猿蟹合戦もあれば、食卓の主役を巡って魚と鳥が戦う話もあります。やはり、絵の描かれ方には注目です。「猿や魚の擬人化ってこんな形なの…?!」「この人が着ている着物の柄はなんだろう? 何か意味があるのかな?」。見れば見るほど、様々な疑問が湧いてきます。 絵の描かれ方は本当に工夫されていて、後期に読んだ合巻と呼ばれる草双紙でも、人物の顔が当時人気の歌舞伎役者だったり、着物の柄でその人の性格付けまで分かることだってあるのです。もちろん、文章にも和歌の枕詞や掛詞を踏まえた趣向が凝らされていたりします。 「この絵はなんだろう?」「もしかして、こんな読み方があるのでは…?!」こんな風に、素直に自分の思ったことが発言しやすいアットホームな雰囲気で演習は進んでいきます。特に質疑応答の時間が非常に楽しいことが、この演習の魅力の1つなのです!3年 加藤 未宙授業風景 近世文学専門演習日本近世文学日本文学科・教授藤沢 毅

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