尾道市立大学 大学案内2018
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研究室紹介054 専門は、日本近世文学(江戸時代の文学)です。 実は私、大学入学前はロシア語学科を第一志望にしていました。しかし、そこには不合格で、しかたなく第二志望の国文学科に入ったのです。最初はあまりおもしろくなかったのですが、いつしか江戸時代の文学の魅力にはまってしまいました。江戸時代の文学にはたくさんのエンターテイメント(怪奇、幻想、冒険、恋愛小説などのようなもの)があります。そして、それらのほとんどは、現在一般的に知られていません。未開拓の分野を研究し、評価できたものを紹介する。それが今の私のスタイルです。 授業は、できるだけ興味深い題材を採り上げ、学生参加の形で、かつ1年生から4年生まで徐々に難易度を上げていきます。歌舞伎や人形浄瑠璃を解説する授業もあります。 2016年度の近世文学専門演習では、前期は『西国諸国ばなし』、後期は『懐硯』という、井原西鶴作の浮世草子をとりあげました。 前期に扱った『西鶴諸国ばなし』は、全35章の諸国の奇談・怪談を集めたものです。受講者は各担当を決め、研究・発表を行いました。「怪談」と聞くと、「怖いはなし」というのが現代の我々のイメージですが、近世では「不思議なはなし」という意味になります。『西鶴諸国ばなし』はまさに「不思議なはなし」の宝庫です。蛇にのまれ髪の毛がすべてぬけてしまった12人の坊主の話、池で飼っていた鯉が口から子どもを吐き出し去っていく話、老人が女の妾を口から出し、妾が今度は間男を口から出すという話などがあり、本文を読めば読むほど疑問が浮かびます。疑問を解決できることもあればできないこともあり、受講中は四苦八苦しました。 近世には町人文化の発達により、庶民向けの文学が多く誕生しています。それらは現代の私たちの心をも引き付ける作品なのです。人情味あふれる近世文学の世界へ誘われてみませんか?  日本文学科3年  小林 文授業風景 近世文学専門演習日本近世文学日本文学科・教授藤沢 毅

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