尾道市立大学 大学案内2018
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研究室紹介052日本中古文学 専門は中古文学(平安時代の文学)です。中学校や高等学校の教科書に必ず載っているような作品も多く、例えば『伊勢物語』は在原業平をモデルとした歌物語として有名ですね。けれども、この作品に出てくる歌が、実は業平の時代から100年近く後の人のものもあることをご存知でしょうか。これは一体どういうことなのか。おそらく、業平の時代に成立した『伊勢物語』の原形に、後の人が後の歌を利用して物語を新たに創作して加え、それが今私たちの見ている『伊勢物語』ということのようです。しかも、『伊勢物語』の古い写本の中にはそうした段があったりなかったり様々です。このことは、『伊勢物語』の読者たちが物語や業平をいかに愛していたかということを教えてくれるとともに、私たちが今読む『伊勢物語』の成立時期を考えるヒントも与えてくれています。 作品がどのように成立し、伝えられてきたのか、長い歴史の中でどのように読まれたのかを考えてみると、作品の魅力を改めて知ることになります。有名な作品でもまだまだ未知の世界が広がっているのです。こうした作品の深い世界を一緒に探してみませんか。日本文学科・准教授岸本 理恵

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