尾道市立大学 大学案内2019
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研究室紹介052日本中古文学 専門は中古文学(平安時代の文学)です。中学・高校の教科書に載っている作品も多いのですが、実は分かっていないことがたくさんあります。例えば在原業平をモデルとした『伊勢物語』。この作品に出てくる歌には、業平の時代から100年ほど後の人のものもあることをご存知でしょうか。これはどういうことなのか。おそらく、業平の時代に成立した『伊勢物語』の原形に、後の人が後の歌を利用して物語を新たに創作して加え、それが今の『伊勢物語』ということのようです。しかも『伊勢物語』の古い写本の中にはそうした段があったりなかったり様々です。このことは、『伊勢物語』の読者たちが物語や業平をいかに愛していたかということを教えてくれています。そんな『伊勢物語』を、私たちは今手にとって読んでいるのです。 作品がどのように成立して伝えられてきたのか、長い歴史の中でどのように読まれたのかを考えてみると、現代語に置き換えただけではわからない作品の魅力の心髄がだんだん見えてくるようになります。授業やゼミも、受講生それぞれがこのような魅力を発見できるように進めています。日本文学科・准教授岸本 理恵 この授業では、和泉式部集の和歌の注釈に取り組みました。ただ現代語に訳すだけにとどまらず、一歩踏み込んで一首に込められた和泉式部の想いを汲み取るべく、受講者みんなで議論をし、オリジナルの注釈書を作り上げました。実際に一冊の冊子として形になった時の喜びはとても大きかったです。 今も昔も変わらない、誰かに恋する気持ちも、当時の人々の表現では現代の私たちとは違った方法で表されていたり、ある人との和歌の贈答から人間関係が見えてきたりと新たな発見の連続で「和歌っておもしろい!」と心から思うようになりました。 みなさんもぜひ、中古文学の世界を楽しんでみませんか?3年 岡野 珠緒授業風景 中古文学専門演習

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