学習院大学 大学案内2017
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 理学部では、4年生の全員が希望する研究室のメンバーとなり、4年間の集大成として本格的な研究に取り組む「特別研究」を履修します。例えば化学科には、物理化学の基礎から新しい機能性素材、無機固体化学、地球・環境化学、合成化学など多彩な研究分野にまたがる研究室があり、「微小液滴を用いた溶液化学」をテーマとする河野研究室もその一つです。 「化学実験における反応を見る場合、溶液と溶液を混ぜることが一般的です。本研究室では、その反応を精密に解析するために、溶液を超微量の液体である微小液滴にするという手法を採っています。微小液滴を利用すると、真空中に溶液を直接導入することが可能になり、また反応する液滴同士の衝突を観察できるなど、溶液化学の研究を進める上で様々な可能性が広がるのです」と、微小液滴の可能性について河野先生は語ります。 研究室で扱うテーマは主に4つに分かれ、真空中に溶液を直接導入する手法である液滴分子線法を使った研究や、液滴の衝突反応を見る研究のほか、交流電場によって液滴を空気中に浮遊させることで単一粒子の性質を調べるといった研究が進められています。河野先生によれば、溶液の中で何が起こっているのかについてはまだまだ謎が多く、レーザー分光や質量分析による微小液体の反応の観測など、分子論的なアプローチを進める余地が十分にあります。実際、河野研究室では水とエタノールの液滴の衝突によって、水溶滴の側に微小な突起が伸びることを突き止めるなど、これまで知られていなかった現象に光を当てることに成功しました。また、これらの研究成果を組み合わせることで、溶液の新たな分析技術の開発につなげることも見据えているそうです。 河野研究室の最大の特長と言えるのが、化学実験に必要な分析装置を研究者である学生たち自らが設計し、製作しているという点です。「実験装置は買うことも可能ですが、それを使って実験をしても新しいことが分かるわけではなく、既に分かっていることのトレースに過ぎません。研究の目的に応じて新しい装置を作るからこそ、新しいことの発見につながります」と河野先生。そもそも化学科のカリキュラムには選択科目として工作工場での製図や機械工作の実習が含まれており、必要に応じて工作をするのは理学部の伝統でもあります。慣れない工作に最初はとまどいを隠せないことがあっても、実際に手を動かすことでそこに楽世界にふたつとない実験装置を駆使し、溶液化学の未知の現象を解き明かす。 研究に応じて 実験装置を作るからこそ、 本当に新しい発見が待っている。 化学特別研究Special Research in Chemistry河野淳也 教授Prof. KOHNO, Jun-ya演習レポート Seminar Report化学科 Department of ChemistryGAKUSHUIN UNIVERSITY092

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