学習院大学 大学案内2018
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公式を適用するより 公式を導き出すことに 重点が置かれる大学数学 数学が基本的なツールとして社会に浸透する中、実社会で役立つ数学的考え方を身につける。微分方程式Differential Equation中野史彦 教授Prof. NAKANO, Fumihiko演習レポート Seminar Report数学科 Department of Mathematics 学習院大学理学部数学科では、大学数学の魅力をすべての学生に知ってもらうために、1年次から3年次にかけて基礎の修得を徹底しています。そのため微分積分や微分方程式、代数、複素関数をはじめとする重要な科目については、講義と演習を組み合わせたカリキュラムが基本となっています。 例えば中野先生が担当する選択科目「微分方程式」の講義では、大きな黒板を使って重要な式を伝えつつ、必要に応じて細かな解説を加えていく形で進んでいきます。黒板に式を書きつけるチョークの音が教室に響き渡る中、学生たちも挑むような表情で黒板に集中する様子が印象的でした。「時にはほかの科目で学ぶ内容とオーバーラップすることもありますが、それも学生たちにとっては身になることだと考えています。すでに学んだ内容もよく扱いますし、講義の冒頭はまず復習から入ることが多いです。学ぶ内容は徐々に高度になっていきますが、“大丈夫だよね”では終わらせない講義を心掛けています」 数学科では講義は担当教授が行うのに対し、演習は主に助教が担当します。演習ではまず助教から問題が配られ、学生たちが自ら解いた後、黒板を使って順番に講義をするという輪講方式で行われるのがオーソドックスな流れです。発表に対して助教が批評をしたり、より詳しい説明を求められた学生と直接ディスカッションが始まることもあります。1年次の頃には説明が不得手な学生も少なくありませんが、こうした演習を重ねることによって、徐々にポイントを押さえた解説ができるようになります。「最終的に学生同士でディスカッションが行われるようになればこっちのもの」と中野先生。緊張感にあふれていた講義とは対照的に、演習はワイワイと賑やかな場であることが多いそうです。 4年次からは、数学の広い分野にわたる9つの研究室のいずれかに所属し、それぞれの興味や関心に基づいて「数学特別研究」に挑むことになる学生たち。そのための大切な基礎を固め、応用力を身につけるための場がこの講義と演習の繰り返しによるスタイルだと言えます。 「大学では、高校数学の高度な発展としての数学をきちんと学んでほしい」と中野史彦先生が語るとおり、高校数学と大学数学の間に大きな隔たりがあると感じる学生は少なくありません。大学では高校までの数学と違って、単に公式を適用することよりも公式そのものを導き出すことに重点が置かれており、より発想力や創造力が求められるからです。 極端にいえば、答えが間違っていても、自分の発想に基づいて論理をきちんと積み上げる力が大切。用意された正解とは違った別解を導き出したり、解けなかった問題を発想の転換によって解けるようになることが、大学数学の醍醐味でもあるのです。また、こうした数理的センスや数学的考え方と呼ばれるものは、実社会で求められることが実は増えてきています。 「例えば統計分析や暗号、ビッグデータなど、確率論的あるいは統計的なものの考え方が、ITの進歩に伴って現実的に応用されることが明らかに増えており、数学が基本的なツールとして社会に浸透してきています。一方で素数に代表される抽象数学のように、突き詰めても社会では役に立たない分野もあるのが数学の面白いところです。とはいえ、数学を学ぶことで手に入れられる論理的に筋道を立てるものの考え方は、どんな分野にでも応用が利くものですし、時代がそうした才能が求めているとも言えます。時に美しく、時に実用的な数学は学生時代にすべてをかけて打ち込むに値する、素晴らしい学問であると私は考えています」 講義と演習を繰り返し、 基礎を固め、 応用力につなげる。 GAKUSHUIN UNIVERSITY092

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