学習院大学 大学案内2017
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 3・4年次向けの専門演習である「知的財産法演習」は、発明や著作物など、人間が知的な創作活動によって生み出した成果を個人の財産として保護する知的財産法がテーマです。この演習では知的財産に関する実際の事件を素材として、ディベート形式で模擬裁判を行い、知的財産に対する理解を深めることを目的としています。 「音楽や小説、デザイン、ブランドなど、ニュースなどでも取り上げられることの多い内容を扱うため、学生にとっては関心を持って取り組みやすいテーマだと思います。とはいえ、知的財産法は主に著作権法、特許法、商標法などいくつかの領域に分かれており、学生の関心も分かれるため、2年間で各分野をまんべんなく学習できるように工夫しています」と、演習を担当する横山先生。 演習の舞台となるのは、実際の法廷さながらの厳粛な雰囲気が漂う模擬法廷教室。原告、被告、裁判官、そして傍聴席の4チームに分かれ、実際の事例をもとに模擬裁判を行っていきます。原告と被告、どちらのチームがより優れた答弁を行ったのかは、傍聴席がジャッジ。また裁判官による判決文なども加味した上で、得点が記録されます。模擬裁判における役割はローテーションで入れ替わり、様々な角度から知的財産権にまつわる問題を扱います。そして、半期で4~5回の模擬裁判を行った末に最優秀のチームを決定するという流れになっています。 模擬裁判の争点は、実際の裁判例を素材にしているため、現実的で実践的なやりとりになる一方、ゲーム要素も強いことから“やられたら、やりかえす”といった感じで熱い答弁が繰り広げられることも珍しくありません。実際、模擬裁判に臨む学生たちの表情は真剣そのもの。動画を用いたスライドを駆使して弁論を行うなど、「伝えること」そして「勝つこと」を意識したやりとりは非常に見応えがあります。また実際の法廷でしか通用しないような専門用語も飛び交い、学生たちの普段からの努力をうかがい知ることができます。 「模擬裁判では便宜上、原告、被告などの役割を与えられることになりますが、当然ながら、自分の本当の意見とは違うことを主張しなければならないこともあるわけです。自分の一方的な価値観にとらわれず、相手方の立場から物事を考える経験は、客観的な立場から物事を見て、よりその本質に迫るという意味で有意義なトレーニングになるものと考えています」と、横山先生は語ります。 横山ゼミでは、知的財産法の基礎的な知識をただ一方的に教えるのではなく、素材となる裁判例などを通して、それぞれの学生の中に定着させていくことを目的としています。さらには準備から答弁、判決といった模擬裁判の一連の流れを通して、情報収集の能力やプレゼンテーション能力、あるいは物事を論理立てて文章で説明する文章能力など、社会人として必要な基礎的なスキルを身につけることも可能です。 ディベート形式の模擬裁判では、学生たちはきちんとした論拠に基づいた発言が求められるため、相当な時間と労力をかけて入念な下準備をしていく必要があります。また4~5名のチームを組んで裁判に挑み、チームの一員として発言の機会を得ることで、それぞれの役割というものを意識しながら、実践的なプレゼンテーション能力が鍛えられるという側面もあるのです。 「学生たちに期待するのは、主体的にゼミに参加し、発言すること。例えば、プレゼンテーション能力や文章能力など、自分のスキルを知的財産法演習Seminar on Intellectual Property Law横山久芳 教授Prof. YOKOYAMA, Hisayoshi演習レポート Seminar Report法学科 Department of Law関心高まる「知的財産法」をテーマに、物事の本質に迫る思考力を養う。 著作権、特許権、商標権といった 知的財産権の諸領域を 網羅的に取り上げる。 模擬裁判の準備から答弁、 判決までの一連の流れを通じて、 社会人に必要なスキルを磨く。GAKUSHUIN UNIVERSITY032

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