國學院大學 大学案内2017
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学びの足跡/テーマ発見から結論を導くまで田沼:辻くんとの出会いは、1・2年次のルーム(教員1人に対して10人程度の学生で構成される人間開発学部ならではのクラス形態)でした。4年間で大きく成長しましたね。辻:入学当初は、自分とは異なる価値観を受け入れない狭量な部分がありました。ルームで取り組む導入基礎演習から、考え方が変わっていきました。田沼:小学校を訪問したのでしたね。辻:何をするのか考え、訪問先に協力を依頼するところからすべて自分たちで進めました。最初はお互いギクシャクしていましたが、みんなで一つのことに取り組むことで、次第にまとまるようになりました。どんな人とでも、どんなことにでも、まずは関わってみることが大切だと身をもって学びました。田沼:小学校の教員になる辻くんにとっては、大きな気付きでしたね。辻:はい。大学では素晴らしい出会いがたくさんありました。特に、田沼ゼミで出会った仲間には支えられてきました。通常のゼミに加えて週2回の自主ゼミを開き、自分たちで決めたテーマについてディスカッションをして、教員採用試験に向けて共に学びました。田沼:話し合いを通してテーマについての知識や理解を深めることは、採用試験のみならず実際の教育現場でも役立つでしょう。学生同士で学び合うことで、自分の知らなかった領域の知識も増えます。今の時代に求められる、広範で総合的な知が身に付きます。辻:教員採用試験に合格できたのは、自主ゼミでの切磋琢磨があったからこそ。自分一人では決してできなかった、奥の深い学びです。田沼:卒業論文では、正義論を研究していますね。辻:特別支援教育やインクルーシブ教育に興味を持ち、調べていく中で、「公正さとは何か」という問題にぶつかりました。そこで田沼先生に相談したところ、少し発展させて正義論について研究してみてはどうかとアドバイスをいただきました。田沼:思想的、哲学的な分野なので、文献を読むのに苦労したでしょう。辻:最初は分からない単語や用語ばかりで、1ページ読むのに1時間ほどかかっていました。繰り返し読むうちに徐々に理解が深まり、のめり込んでいきました。先生に紹介された倫理学や哲学の本を読む中で出合った、J.ロールズの平等に関する論に共感し、彼の著書『正義論』を研究することにしました。田沼:『正義論』を読み込み、辻くんなりの結論が導き出せそうですか?辻:正義や公正さの価値観は人それぞれ違うため、正義を掲げた争いが起きてしまいます。現在のシリア内戦はその一例です。卒業論文では、すべての人にとって共通した善や公正さを見いだすことはできないか、そのためにはどうすればいいかについて、自分なりの提言ができればと考えています。田沼:自分でテーマを設定し、深めていく中で、迷うこともあるでしょう。卒業論文においては、この迷うプロセスこそが大事だと私は考えています。迷ったとき、人はより主体的に考えようとし、心も動くのです。辻:ゼミや自主ゼミでの学びを通して、主体性が身に付いたと感じています。田沼先生やゼミ仲間と出会い、小学校の教員になるという夢が叶い、学内外でさまざまな活動に携わる機会もあり、國學院大學で学んだ4年間は本当に充実した時間でした。田沼:春からは小学校の教員ですね。嵐の日もあれば雨の日もありますが、晴れる日は必ず来ます。希望を持って、前進してください。主体的に人と関わり、考え、行動し、夢を叶える。主体的に人と関わり、考え、行動し、夢を叶える。ゼミ合宿も教員になるための学びの一環。スポットごとにガイド役を決めて案内する。写真は、広島の大和ミュージアムをガイドするにあたり、手製の戦艦模型を手にしながら解説する辻さん。ゼミ合宿では、事前にしおり、事後に報告書を作成。タイムスケジュールも学生が考える。卒業論文で扱ったJ.ロールズのほか、マイケル・サンデルの著書など正義論についての書籍を読み込んだ。田沼 茂紀 教授専門:道徳教育学、教育カリキュラム論辻 成吾 4年生[取材時]都立狛江高等学校卒業内定先:東京都公立小学校教諭(合格)同じ夢を持つ仲間と出会い切磋琢磨して学び合う。正義とは何かについて、文献から考察を重ねる。人間開発学部初等教育学科085

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