國學院大學 大学案内2017
69/142

学びの足跡/テーマ発見から結論を導くまで前田:法律専攻に入学した当初、私は公務員志望でしたが、3年生になる頃から父の影響もあり、一般企業への就職を志すようになりました。そういった中、研究では行政法関連の問題を扱いたいと考えました。高橋:行政法は、実社会との接点が多い法律です。ライフラインや社会福祉制度の整備など、私たちの生活のほぼすべてに行政法の影響が及んでいます。前田:ゼミでの研究テーマとして、行政法関連の最新判例、特に日常のニュースで見られる事件や身の回りの社会問題に関する事例を分析・検討しています。具体的には生活保護をめぐる問題点や飲食店で未成年者にアルコール類を提供した場合の責任問題などです。これらの判例を見ていく中で、行政法の領域に生じている変化がよく分かりました。司法が社会の不公平を正して社会的弱者を救済するといった、生活者に寄り添う方向へシフトしているように思います。高橋:司法制度改革の余波を受け、従来の伝統的な考え方を根底から覆す判例が増えつつあります。ここ15年くらいで裁判所の姿勢が変化し、行政に対して厳しい判決が多く見られるようになりました。例えば、水俣病の拡大を防げなかった国や県の損害賠償責任を認めた2004年の最高裁判決は画期的だったと思います。行政の「怠慢」を司法が厳しく批判したのですから。現在は、人々が生活しやすい環境や社会の公平性が、改めて必要とされているといえます。前田:研究においては、行政法の知識や研究成果はもちろんですが、勉強の方法やプロセスに関する、さまざまな副次的スキルを獲得できました。やはり、ゼミの存在・影響はとても大きかったと思います。チームのテーマの判例の評釈を探し、読み込み、分析し、何枚ものレジュメにまとめて発表するといった一連の作業は、メンバーで分担しているとはいえ、骨が折れます。これを繰り返すことで、情報収集能力や分析力、自分の考えを相手に伝えるプレゼンテーション能力が身に付きました。高橋:レジュメの作成とともに重要なのが、「自分の意見を持つこと」です。何を考え、なぜそのように思うのかを絶えず突き詰める姿勢が大切です。そしてその第一歩は、とにかく何か「しゃべる」こと、他者に対して何かを伝えることです。前田:ゼミでは、先生が必ず私たちの考えを問いただし、曖昧な回答には容赦なく突っ込みを入れる場面が印象に残っています。高橋:誰もがそうですが、初めから自分の主義主張を論理立てて語ることなどできません。論理は、頭の中だけで考えるだけでは、いざという時に言葉にできないのです。そのため、まずは考えたことをアウトプットする癖を付けてほしいと思い、ゼミで皆さんと接しています。そういった作業の繰り返し、会話の中でプレゼンテーション能力が培われ、それが就職活動にも活きてくるはずです。しかし、残念ながら、しゃべり始めるのは4年生になってからという人が多いですね(笑)。前田:就職活動については先生がおっしゃる通りで、自分自身をうまくアピールできたと実感しています。また、多くの行政法の判例に触れ、自分なりに分析を深めたことは貴重な経験でした。世の中を見る視野が広がり、さまざまなニュースに対する自分なりの見解を持てるようになりました。これから社会に出るにあたり、当事者意識を持ちながら仕事に携わりたいと考えています。行政法が人々の日常に深く及ぶさまを学び、社会人としての当事者意識を育む。行政法が人々の日常に深く及ぶさまを学び、社会人としての当事者意識を育む。入学当初は公務員も考えたが、3年次より一般企業に一本化。SPI用の問題集などを可能な限りこなした。ゼミ合宿では、ゼミで報告する際の担当の割り当てや準備を行う。仲間との交流を深める場でもある。ゼミのレジュメは、読む人間の理解がはかどるよう、内容はもちろんレイアウトにも工夫を凝らした。高橋 信行 教授専門:行政法前田 浩平 4年生[取材時]私立鵠沼高等学校内定先:株式会社富士通エフサス行政法の判例を通して社会のあり方、変化を知る。ゼミでの活動で培われたプレゼンテーション能力。法学部法律学科 法律専攻067

元のページ 

page 69

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です