國學院大學 大学案内2017
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中国古典にじっくり向き合った貴重な4年間は、必ず将来に生きる。学びの足跡/テーマ発見から結論を導くまで島田:私は中国文学科に入学するにあたり、必ず『論語』を読破しようと意気込んでいました。意欲はあるつもりでしたが、1年次の前期早々に「中国学入門」で『論語』に関する30枚ものレポートを課された際には、かなり苦労しました。石本:中国文学科では学生に対して意識的にハードルを設けるようにしています。その理由は「ステップアップ」です。もちろんサポートはしますが、高校までの勉強と大学での学問は異なるという事実に早く気づいてほしいのです。島田:はい。私自身、そこで初めてレポートの書き方や参考文献の調べ方などをつかめたと思います。また、日本語固有の仮名と漢文の違いをとても新鮮に感じたのを覚えています。石本:仮名の特徴は「しなやかさ」です。それに引き換え、漢文はロジックで構成されています。日本語は仮名と漢字で成立していますが、漢文の論理の強靭さを表す方法として、「漢文が日本語の背骨を作った」という言い方がされます。島田:初めて石本先生にご指導いただいたのは1年次に入会した「宋代文学研究会」でしたが、その活動にも刺激を受けました。石本:宋代最高の詩人であり、宋の四大書家のひとりとしても知られる蘇軾や、中国古来の手紙、尺牘などを扱う、日本では唯一の研究会といえるでしょう。ですが、1年次の入学当初から参加する学生は稀なので、島田さんは印象に残っています。島田:先輩方が生き生きとした様子で活動しているのを見て、自分もやってみたい、と。研究会の学びでは、中国古典の知識はもちろんですが、石本先生の「大学は方法論を学ぶ場」という教えに感銘を受けました。安直に解答を求めるのではなく、プロセスを大切にする姿勢を普段の生活でも心がけるようにしています。島田:卒業論文のテーマについては、当時「男女の情」に関心があったため、“『詩経』周南「関雎」詩小考-「情」をめぐって-”となりました。このテーマ設定においても石本先生をはじめ、先生方にアドバイスを頂きました。石本:中国文学科はテーマ設定の際に、全教員とのやりとりが必須になりますからね。3000年以上前に編纂された『詩経』は天真爛漫で、冒頭では新婚の男女の胸躍る気持ちが描かれています。ちょうど、島田さんの研究テーマにふさわしいと思います。島田:研究を深掘りする中、『詩経』の魅力を改めて実感していますが、実際の執筆では苦戦しており、論点や自分自身の発見を強調する文章構成に難しさを感じています。それでも、先生から教わった「嘘をつかない」姿勢だけは忘れないよう心掛けています。石本:論文執筆では「アカデミック・オネスティ(学問的誠実性)」が重要です。これにはマナーやしつけといった道徳的な意味合いもありますが、それ以上に手続きとして必須なのです。原典を丁寧にあたるのもそうした理由があります。島田:ところで「関雎」には、婚姻の礼の大切さが詠われていますが、先生からは「冠婚葬祭の礼の意味は、時間の区切り、けじめにある」と学びました。私自身、これを普段の生活に照らし合わせて理解しているのですが、論文執筆を進める中で現代社会との共通点に思い当たることが多々あります。石本:古典は決して過去にとどまるものではありません。今後、社会人として仕事に携わるにあたり、論文執筆から思いがけない教訓を得られるはずです。4年間、古典にじっくりと向き合った経験は非常に貴重ですから、ぜひ、満足のいく成果を挙げてください。中国古典にじっくり向き合った貴重な4年間は、必ず将来に生きる。2年次9月からのセメスター留学、3年次9月から4年次6月まで協定留学に参加。宋代文学研究会に入会した当初は、石本先生の威厳に圧倒され緊張していたとか。石本先生の共著作『朱熹詩集伝全注釈』(明徳出版社)を研究の参考文献として活用。石本 道明 教授専門:中国古典文学島田 凪紗 4年生[取材時]東京都立上野高等学校内定先:株式会社ジーユー授業や研究会での学びの中漢文の面白さに出合う。卒業論文を執筆することで『詩経』の魅力を改めて知る。文学部中国文学科041

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