國學院大學 大学案内2017
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学びの足跡/テーマ発見から結論を導くまで横山:吉田先生との出会いは、高校2年生のときです。高校で受けた吉田先生の模擬授業に魅了され、先生のもとで学びたいと、國學院大學への進学を決意しました。吉田:写本の影印(※)を見ながら源氏物語を読み解く授業でした。横山:それまでは教科書の活字でしか古典を読んだことがなかったので、写本の質感や字体に感銘を受けました。吉田:1年次には私の古典文法の授業を受講していましたね。横山:古典の基礎である文法や言葉に興味があったので、日本語学専攻を選択しました。2年次からは吉田先生が顧問を務める古典文法の研究会にも参加し、疑問点について発表したり話し合ったりしながら理解を深めました。研究会での学びを通して、自分の考えを整理して人に伝える力が付いたと思います。また、交代で担当する文法テストの作問も、教員を目指す私には勉強になりました。吉田:研究会では大学院生と学部生が主体的に学んでいます。横山さんは、源氏物語について学ぶ王朝文学研究会にも所属していますね。横山:高校生の頃から源氏物語が大好きで、卒業論文でも源氏物語から用例を集めているため、研究会の活動はとても役立っています。吉田:横山さんの卒業論文では複合助動詞「にけり」を扱っていますが、これはまだ研究があまり進んでいない分野です。横山:完了の助動詞「ぬ」と過去の助動詞「けり」が複合した「にけり」と「けり」の違いについて、研究しています。さまざまな古典文献を読む中で、この二つはどう違うのだろうと疑問に感じ、卒業論文で追究することにしました。先行研究を把握した上で、源氏物語における300あまりの用例をコツコツと一つ一つ調べていきました。吉田:ただ用例を集めるだけでなく、先行研究で述べられていることが正しいか、用例と照合して検証する必要があります。その上で、新たな視点を提示することが求められます。横山:私は、「にけり」と「けり」の前にくる動詞のうち共通するものを調べ、表現やニュアンスの違いを考察しました。調査の結果、「にけり」の用法は、会話文(話し言葉)・地の文(作者の立場)・心の文(心の中で思ったこと)の三つに分類でき、その中でも会話文の文末で使用される「にけり」は、「現在の気付き」を表すことが分かりました。吉田:卒業論文については、個人指導や研究会での発表に加え、夏休みには指導する学生を集めて中間報告会を行いました。横山:研究会・報告会では、思わぬ視点からの意見をもらったり、「この分類は再確認が必要では?」と指摘を受けて自分の思い込みに気付いたりと、柔軟で多角的な観点を持つことの大切さを改めて感じました。吉田:卒業論文も佳境に入っていますが、順調に進んでいますか?横山:はい。卒業論文への取り組みを振り返ると、疑問にぶつかったときに自分で調べて検証・分析する術を学んだことが、何よりも有意義だったと思います。吉田:ある知識や情報に出会ったとき、それが本当かどうかを自分の手で確かめることが重要です。教員になってからも、教科書の受け売りではなく、別の考えや解釈もあるのではないかという視点を常に持っていてほしいと思います。横山:はい。4年間の学びを生かし、古典の面白さや言葉の大切さを伝えられる教員になりたいと思います。自らの手で調べ、検証し、人に伝える術を身に付ける。自らの手で調べ、検証し、人に伝える術を身に付ける。週1回の古典文法の研究会は、学生が主体となり発表や議論を行う学び合いの場となっている。源氏物語を読み込み、用例を集め、その一つ一つについて文脈における意味や用例を調べていった。写本をはじめ貴重な古典資料がそろう國學院大學の図書館へは、毎日のように足を運んでいる。※書籍を写真に撮り、印刷したもの。吉田 永弘 教授専門:日本語史横山 友莉子 4年生[取材時]千葉県立小金高等学校卒業内定先:千葉県高等学校国語科教諭(合格)古典の世界に魅了され、主体的に学びを深める。問い続ける姿勢と、自ら検証・分析する術を学ぶ。300あまりの用例を検証し、新たな視点を提示する。文学部日本文学科037

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