名古屋大学 大学案内2018
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07 GUIDE TO NAGOYA UNIVERSITY 2018Researchers at Nagoya University名古屋大学の研究者たち古代ギリシア美術史を照らす光周藤 芳幸文学部 教授ヘレニズム時代のエジプトを考古学的に研究してる人は国際的にみても珍しいそうですね。 紀元前4世紀の終わりにギリシャ人がエジプトで支配層を形成し、それによりどのような影響が及ぼされたのか。今までは文献学的な方法でしか研究されていませんでしたが、それに対し現地調査も踏まえて当時の暮らしを復元することが私の研究スタイルです。地中海からナイル川を400キロ遡ったアコリス遺跡の発掘調査では、ワインを輸送するためのアンフォラというギリシャ系土器の破片が大量に出土しました。これはこの集落が地中海世界と密接に交流していた状況を示し、正直予想外でした。遺跡との対話で新事実が浮かび上がり、ヘレニズム期は世界最古のグローバル化の時代であったとも。 ギリシャ語が今の英語にあたる共通語の役割を果たし、異なる文化人同士もコミュニケーションできるようになったんです。この頃、エラトステネスという学者が地球の全周を計算していますが、こういう知的好奇心が生まれたのは、物資的な意味も含めてヘレニズム時代の豊かな文化交流があったからだと思います。壁画も自然主義的な姿や表現が出てくるんですが、実はギリシャでもほぼ同時期にたくさん彫像が作られています。ミロのビーナスをはじめ、名の知れたギリシャ彫刻が作られたのはほとんどがヘレニズム時代。ギリシャだけ、エジプトだけ見ていても気づけなかったことであり、地中海を介して同じ方向へ文化が変化していったと考えています。 もともとモノが伝える事柄に関心があり、初めて縄文土器の大きな破片を拾った時も大昔の人と繋がったような。今でも現地調査で古代の人が書いた文字を通じて2000年の時を超え交流しているようです。そういう感動が研究のモチベーションですし、人間が創り上げてきたものを継承することはとても大切。世界の成り立ちを表面だけで捉えることなく、自分たちの目に見えないところで実はとても関係のあることを学んでいるんです。01周文学「大昔の人と交流しているよう。 それが研究のモチベーション」古代文明の営みが 現代社会に貴重な洞察を与えるResearcher専門はギリシャ考古学、東地中海文化交流史。考古学的見地から古代ギリシャ史の諸問題の解明に取り組む。1997年からアコリス考古学プロジェクトのメンバーとしてエジプトの現地調査に従事し、数々の成果をあげる。PROFILE

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