名古屋大学 大学案内2018
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GUIDE TO NAGOYA UNIVERSITY 2018 74名大生の研究発表(第7回〈平成28年度〉日本学術振興会育志賞受賞・ 平成28年度名古屋大学学術奨励賞受賞)理学研究科 生命理学専攻博士課程後期課程修了出身校: 愛知県 私立南山高校伊藤 亜実 さん 研究室に所属して以来、細胞が分裂する際に必要とされる「紡錘体」という構造物について研究を行ってきました。紡錘体は生物の教科書に必ず載っているような有名な構造物ですが、実際には、まだ全貌が明らかになっていません。この紡錘体がどのように形成されるのか、また、どのように維持されるのかを明らかにするために、日々実験を続けてきました。 研究室では、個々人が自分の計画に従って実験に取り組んでおり、定期的に各自の研究報告や国内外の論文紹介も行います。私の場合は、様々な処理をした培養細胞や試験管内で反応させたタンパク質を、光学顕微鏡を使って観察することで研究を進めてきました。実験は失敗することも多々ありましたが、研究室のメンバーとアイディアを出し合い、試行錯誤を繰り返した末に成果が得られた時には、苦労を忘れこの上ない喜びを感じました。顕微鏡の向こうに広がる世界には、まだ誰も知らない真実が無数に隠されています。それを解明するために、時間を忘れて研究に没頭したことが、充実したかけがえのない学生生活につながりました。(平成28年度名古屋大学学術奨励賞受賞)法学研究科 総合法政専攻博士課程後期課程3年出身校: 愛知県立瑞陵高校加藤 紫帆 さん 名古屋大学法学研究科において「抵触法(国際私法)」という法分野を対象に研究をしています。抵触法は、例えば、日本企業と中国企業間で契約紛争が生じた場合にはどの国の裁判所でどの国の法律に従い紛争を解決するのか、日本人女性と韓国人男性のカップルはどの国の法律に従い結婚できるのか、といった一国以上に関連を有する法律問題を扱う国内法の一分野です。私の大きな研究テーマは、個人や企業間の国際的な法律関係を適切に規律すべく、21世紀型グローバル社会の現状に即した抵触法のあり方を探ることです。というのも、グローバル化の進展により国境を越えた個人や企業の活動がかつてない規模で活発化する中、今よりずっと静態的な19世紀ヨーロッパ社会を前提に作られた抵触法の原則の多くには様々な困難が生じているからです。研究生活では、日本法のみならず外国法や外国における議論を比較・参照することが不可欠となるため、指導教官のご指導を賜りつつ、英語やフランス語、ドイツ語によって書かれた外国語文献と格闘する傍ら、日本語のみならず英語での報告や海外の研究者との議論を通じ、国際的に多角的な視点を備えた研究者を目指して日々精進しています。(第7回〈平成28年度〉日本学術振興会育志賞受賞・ 平成28年度名古屋大学学術奨励賞受賞)創薬科学研究科博士課程後期課程修了出身校: 北海道立札幌南高校志甫谷 渉 さん 私は高校生の頃から研究者になりたいと考え、名古屋大学創薬科学研究科に入りました。創薬科学研究科は最近できた新しい研究科で、生物・有機合成・分子構造の3つの系があり、創薬に関して幅広い知識を得ることができます。私の研究テーマは、血圧調節に関わる膜タンパク質である、エンドセリン受容体の構造決定です。この受容体には肺高血圧症の薬が作用しますが、より良い薬の設計には受容体の構造情報が必要です。研究室で15年以上かかっていた難しい研究でしたが、私はぜひ挑戦したいと考えこの研究に没頭しました。 タンパク質の構造を決定するためには、タンパク質を精製し、結晶化する必要があります。私は昆虫細胞にエンドセリン受容体を発現させ、それを精製し結晶化しました。膜受容体のような不安定な分子を結晶化するためには途方もない努力が必要でしたが、修士2年のときに最初に構造が解けたときは感動しました。 それから時間はかかりましたが、約3年後に国際一流誌であるNatureに発表することが出来ました。国内外の研究者に評価され、改めて研究の面白さを実感しました。それからも、いろいろな状態の構造を決定できており、日々の発見に心躍らせています。(平成28年度名古屋大学学術奨励賞受賞)工学研究科 電子情報システム専攻 博士課程後期課程3年出身校: 愛知県立一宮西高校村手 宏輔 さん 私は電波と光の中間の周波数帯に位置するテラヘルツ波という電磁波の研究をしています。ものを透過しその内部にどのような物質が含まれるのかを見ることができ、X線や可視光では難しい、様々な応用が期待されています。テラヘルツ波はここ20年で発展してきた、まだまだ新しい発展途上の研究分野であり、自分の研究が世界初となることも珍しくありません。実際に私も世界初のテラヘルツ波増幅の成功や、世界トップレベルの性能を有するテラヘルツ検査装置開発に成功しています。思ったような結果が出ずに辛いことも多々ありますが、自分のふとした思いつきで研究がうまくいったときは、何事にも代えがたい喜びを感じることができ、それまでの苦労が報われます。現在は、これまでの研究を応用し、麻薬探知犬に代わる封筒内の禁止薬物検査装置開発を行っており、日々充実した研究生活を送っています。このような世界最先端の研究ができるのも、名古屋大学の自由闊達な校風と、充実した研究設備あってこそであり、これから入学せれる皆さんも、この名古屋大学で研究できる楽しさ、喜びを分かち合いましょう。※日本学術振興会育志賞 大学院における学業成績が優秀であり、豊かな人間性を備え、意欲的かつ主体的に勉学及び研究活動に取り組んでいる大学院博士後期課程在学者で、当該大学長または所属する学会長から推薦された者を対象に受賞者が決定されます。日本学術振興会より、毎年度、全国で16名程度に賞が授与されます。※名古屋大学学術奨励賞 名古屋大学大学院博士課程後期課程に在学する学生で、人物・研究水準ともに優秀、かつ、研究科長及び指導教員から推薦のあった者を対象に受賞者が決定されます。名古屋大学より、毎年度、学内で10名以内に賞が授与されます。

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