名古屋大学 大学案内2018
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GUIDE TO NAGOYA UNIVERSITY 2018 14すべての教員が協力して基礎教育と教養教育にかかわっています名古屋大学の基礎教育・教養教育の大きな特徴は、すべての学部のすべての教員がそれにたずさわり、大学全体として基礎的学力と幅広い教養の涵養に責任を持つしくみを創りあげている点です。なぜそのようなしくみをつくったのかをご説明しましょう。■ 基礎教育・教養教育って何だろう。なぜ大切なんだろう 大学に入ったら専門を思いっきり勉強するぞ、という気持ちはとても大切です。でも、ちょっと待ってください。これが、狭い専門だけを勉強したい、「無駄な」ことは勉強したくない、ということを意味しているとしたら、少し考えを改めてほしいと思います。名古屋大学の教育目標は、みなさんに「勇気ある知識人」になっていただくことです。ここでいう「知識人」って何でしょうか。 知識人であるために必要な第一のことがらは、専門性です。しかし、現代のどの学問分野もたいへんに高度化しています。いきなり最先端の知識を身につけることはできません。学問はすべて先人の成し遂げたことに、少しずつ付け加える形で発展してきました。あなたも、本当の意味での専門性を身につけたいと思うなら、まずは高度な専門を学ぶためのしっかりした基礎的学力を身につける必要があります。確かな基礎的学力の上に、はじめて個性的な専門性が花開くのです。基礎教育のねらいはここにあります。 知識人であるために必要な第二のことがらは、教養です。「教養」という言葉はドイツ語のビルドゥンク(Bildung)に由来します。英語で言うとビルディングですね。「建てること・つくりあげること」です。何をつくりあげるのでしょうか。それは「社会の責任ある担い手(市民)としての自分」です。こうした市民としての自己形成には、人類にとって価値あるものは何か、世界の中で自分はどのような位置づけを占めているのか、われわれはどのような道のりを歩んできて、いまどこに向かっているのか…といったことをできる限り大きな座標系に照らして見極める能力が必要です。 現代は専門化の時代だといわれています。難しいことがらを専門家に任せることで、科学・技術の発展と経済成長が達成されてきました。しかし、専門知識はときとして暴走しがちです。専門化して高度化した科学技術や社会の仕組みは、歯止めがきかなくなると、逆に人々に大きな災厄をもたらします。核兵器や環境破壊、さまざまな社会問題を考えてみれば分かるでしょう。つまり、専門性は、幅広い教養によって方向づけられる必要があるのです。教養教育のねらいは、きちんと社会を構想し専門性をその社会にうまく位置づけていくことのできる資質を、みなさんに身につけてもらうことにあります。 このように、確かな基礎的学力に根ざした専門性と、人類全体の視点からものごとをとらえるための幅広い教養とを兼ね備え、機会をつかみ、困難にいどみ、自律性と自発性を育む行動を実践できる人々が人類の未来を切りひらいていくのです。それが「勇気ある知識人」です。■ 教養教育院の役割 このようにたいせつな基礎教育・教養教育をきちんと実施していくには、個別の専門分野の枠を超えて、大学のすべての教員がすべての学生と向き合うしくみが必要です。それが全学教育体制です。そして、そのまとめ役としての役割を担うのが教養教育院です。教養教育院では、全学教育のカリキュラムの立案、その実施についての管理運営、教育支援と教育の質向上のためのとりくみ、学習環境の整備などを進めています。みなさんも、入学したらまず教養教育院が提供する授業を受けることになります。■ 教養教育院が提供する授業の例 みなさんが初年次に受ける授業の中でもっとも人気の高いものが「基礎セミナー」です。この授業では、学問探究の面白さをみなさんとともに味わうと同時に、大学生に必要な「読み・書き・話す」能力の基礎トレーニングを行います。このセミナーの効果を最大限に発揮するために、12名程度の少人数クラス編成により、他学部の学生とともに、共通の課題について調べたり議論したりする機会を提供しています。 「教養」のある人は、自分の好みを超えた価値の尺度があるということを理解している人です。何かの役に立つから価値があるのではなく、それ自体価値のあるものとは、真・善・美であると言われてきました。日本の国立大学では、このうち真と善を希求する態度を育てることについては力を入れてきましたが、美については立ち遅れてきました。そこで名古屋大学では、教養科目に芸術について学ぶ科目を充実させてきました。また、「基礎セミナー」にも、作品制作を実際にやってみることを通じて芸術について学ぶ科目を開設しています。全学教育棟の南には、学内アートギャラリーの「clas」を設置し、授業と連携させながらさまざまな企画の展覧会を実施しています。名古屋大学プロジェクトギャラリー「clas」 本学の授業および学生、教職員、OB・OGらによる教育と研究、社会的活動にかかわる展示、プレゼンテーション、セミナー、ミーティング等の空間として使用しています。名古屋大学プロジェクトギャラリー「clas」 本学の授業および学生、教職員、OB・OGらによる教育と研究、社会的活動にかかわる展示、プレゼンテーション、セミナー、ミーティング等の空間として使用しています。

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