名古屋大学 大学案内2018
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09 GUIDE TO NAGOYA UNIVERSITY 2018Researchers at Nagoya University最先端低温プラズマ技術で未来社会を変える03堀 勝工学部 教授 プラズマ医療科学国際イノベーションセンター長名古屋大学が開発した低温プラズマ 宇宙の99.9%がプラズマであり、138億年前のビッグバンや太陽も宇宙の根源となるエネルギー状態はプラズマです。神秘的な光のオーロラもしかり。人工的にオーロラ、つまりはプラズマを生成しようとすると真空中にガスを入れて放電させる方法が通常です。この技術は蛍光灯や携帯電話、コンピュータなど、ほぼ全ての産業に活かされている基幹科学技術であり、皆さんの生活を幸せにしています。ではこの素晴らしいプラズマを人体や生物に当てたらどうなるか。しかし真空状態だと内圧差で生体が破裂してしまう。大気中では5000度以上という非常に高い温度を必要とするため、触れることができない。そのなかで名古屋大学では、手で触れられる低温プラズマ技術の開発に挑み、プラズマ科学にイノベーションを起こしました。現在さまざまな応用を研究している段階で、次から次へと新しい現象が生まれています。プラズマ技術の新しい可能性とは? ひとつは革新的な医療技術として注目を集めている次世代プラズマがん医療です。我々は低温プラズマを照射すると、がん細胞だけが死滅し、正常細胞は全く影響を受けないという選択的殺傷効果を発見しました。このほか再生医療への応用についても研究を進めています。 また、世界的な食糧危機や水不足などの環境問題を見据え、低温プラズマによるカビの抑制や汚水・土壌の浄化技術、また感染症対策などの環境改善技術を研究。さらには農水産物への応用として、稲の栽培やチョウザメの陸上養殖実験を行い、成長増進や品質向上技術の実用化にむけて動いています。産学連携を図りながら、いち早く本学で得られた計測データや知恵・知識を、量産している企業や農場などの現場へフィードバックする。ですから非常にスピード感を持って科学技術を創出していけますし、プラズマだけじゃない各領域の専門家とも活動することで、学問の融合が始まっています。最先端かつユニークなオープンサイエンスの場 研究活動を行う2,000㎡の開放的なフロアには、大半をオリジナルで開発した115台の実験・計測装置を設置。そこで国内外大学や企業・研究機関からも研究員を迎え入れ、ともに活動をしています。ここで展開するプラズマ研究のポテンシャルは、世界的に見てもナンバーワンを走っている。非常に独創的でもあるし、これだけ未知の現象が日々出てくる学問領域はここにしかないと自負しています。プラズマサイエンティストとして人類の幸せに貢献し、サステナブルな地球の実現を目指していきたいですね。「プラズマはまさに学問の融合。 非常に面白い世界ですよ。」Researcher名古屋大学 未来社会創造機構・人とモビリティ社会の研究開発センター くらし・健康基盤情報部門長。最先端プラズマ科学技術をベースに、材料・デバイス、バイオ・生命、生活・医療の技術・システムを統合した新科学の創成によるイノベーションを推進。PROFILE

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