京都市立芸術大学 大学案内2018
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7インタビュアー渡辺佳奈(美術学部日本画専攻4回生*)*取材当時取材日2016年10月19日取材場所DUMB TYPE OFFICE高校3年生の夏休みから姉も通っていた画塾に行くようになりました。そこはあまり受験目標ではない雰囲気のところで,行くといきなり木炭デッサンをやらされるんです。でも,京都芸大の入試に木炭デッサンはありませんよね。高校3年の夏休みなので入試まで時間がないんだけれど,「あぁ,木炭からなんだ」って思いながら(笑)。結局,京都芸大には2年浪人して入りました。入学前から躓きまくりでしたが,浪人時代には色々と考える時間も持てました。それは切羽詰まった感じではなくて,大学時代に考えるようなことについて,あれこれ思いを巡らせていた気がします。大学時代は1回生の夏休み前にダムタイプの前身の演劇サークルに入り,チラシやセットのデザインを担当するチームに所属したんですが,大学の授業よりも面白いから,ほとんどサークル活動に没頭していたような気がします。入部当時,公演は主に大学構内で上演していました。とはいえ講堂での公演は1回だけで,野外の使われていない一角を活用してステージを組んで公演したり。デザインも担当していましたが,興味があって照明もしていました。当時のメンバーには古橋悌二さんや小山田徹さん(現京都市立芸術大学教授),穂積幸弘さんをはじめ,すごく面白い人が集まっていました。1回生の頃は映画を本当に多く観ましたが,映画を観てはその映画についてメンバーと延々話をするわけですよ。それが舞台にも反映されていたと思います。とにかく色んなものを見て,技術を京都芸大で学び,一人ではできないことを集団で何か面白い新しいものを作ろうとしていました。在学中は将来のことについて全然考えていなくて,卒業して最初のダムタイプの海外ツアーから帰ってきたときに,このままダムタイプを続けることもできるけれど,もっと積極的にアイデアを出せるようなスキルを身に付けたいと思い,一度離れて建築設計事務所に就職することにしたんです。半年ぐらい建築の仕事を続けましたが,これは自分がやりたいことと違うんじゃないかと感じ始めた時に古橋さんからダムタイプの新作制作に参加してほしいと話があって,自分がダムタイプに必要とされていることを感じて戻ることを決めました。最近,興味があることは色々ありますが,舞台にしてもインスタレーションにしても時間というものが重要だと考えています。これまで私は時間と空間を分けて考えていたんですが,ある展覧会のために,1ピクセルラインずつ撮影できる特殊カメラで撮影した映像をパノラマに展開するヴィデオ・インスタレーションを作成したのですが,この手法によって,時間と空間が織り込まれたような一つのパノラマが創れることが分かりました。この体験を契機に更に時間について考えていくと,自分の感じていることが,時間と空間は交換可能と考えるアインシュタイン以降の量子力学的な時間とか空間という概念に繋がる部分があることに気付いたんです。今は自分がそういう考え方から感じとった感覚というものが,何か新しい表現に繋がらないかなと考えているところです。Message受験生そして在学生へ学生時代ってすごく時間があると思いますが,その時間をどう使うかが大切です。必ずしも効率良く使うのがよいということではなくて,傍から見れば無駄な時間の使い方でもいいと思います,学生の時ってお金は無くて,あるのは時間だけ。その時は無駄に思えるかもしれないことであっても,集中できるものを集中してやるべきだと思いますし,それが後々生きてくることもあります。仮に,そうでなくても楽しければそれは意味があると思います。膨大にある時間をうまく使って欲しいですね。学生時代は色んな事をやればいいと思うんです。失敗しても学生だし,恐れるものはありませんよ。私にとって,京都芸大は自由な雰囲気で伸び伸びしていたのが私には良かった。何かを教えてもらえるところではないから,入ってから自分がしっかりしてないといけないし,やりたいことを自分で創っていかないといけない場所だったと思います。職業教育の場ではなくて,やっぱりアーティストを育てる大学だったんだなって感じがします。だから面白いんでしょうね。卒業生インタビュー①高谷史郎さん『ST/LL』(写真:井上嘉和)

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