京都市立芸術大学 大学案内2018
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鷲田 清一【わしだ・きよかず】略歴昭和24年京都生まれ。昭和47年に京都大学文学部哲学科卒業後,関西大学教授,大阪大学教授,大阪大学総長などを歴任。大阪大学名誉教授,大谷大学客員教授,せんだいメディアテーク館長。哲学者。専門分野である哲学・倫理学の視点からアート,ファッション,教育,労働,ケアなど様々な分野において,数多くの評論・執筆活動を行っている。《受賞歴》平成元年 第10回サントリー学芸賞:「分散する理性」,「モードの迷宮」平成12年 第3回桑原武夫学芸賞:「「聴く」ことの力」平成16年 紫綬褒章 平成24年 第63回読売文学賞京都市立芸術大学 学長3もつれた思いや体験に新たな形をあたえるものです。そういう意味では,言葉も大切にしてほしいと思います。ただし,できあいの言葉を器用に使えることが大事なのではありません。それよりも,言葉の立ち上がるその瞬間を注視してほしい。意味が,形が,生まれる瞬間に,です。芸術を志すみなさんには,いつも,(ひとの生死から細胞の蠢きまでを貫通する)〈いのち〉の根源,(ふだんの挨拶からグローバルな政治・経済までを貫通する)〈社会〉の根源,そこにまで高感度のアンテナを張り,想像力を届けていただきたいのです。芸術が《人類史的》ないとなみであるということは,どんな時代にあっても人びとの暮らしの根底で疼きつづけるということだからです。芸術をつうじて,おなじ時代を生きる人びとの歓びや悲しみに深くかかわるということ,そしてどんな苦境のなかでも希望の光を絶やさないこと,そういう使命もアーティストにはあります。そういう使命の大きさ,重さにあらためて心を震わせながら,学習に取り組んでいただければと願っています。

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