京都市立芸術大学 大学案内2018
21/124

19何か新しいことをしようと思い材料に荒縄を使ってみたり色々なことを試しました。大学生活は学部の4年で区切りをつけようと考えていたので留学も考えましたが,最終的には社会に出て就職することにしました。勤め先は京都芸大の卒業生の方も勤務していた繊維商社で,同級生の会社見学に同行したことがご縁でお世話になりました。2年間勤務した後,退職して自宅で絵画教室を開くと同時に自分の制作活動を再開しましたが,そうしている内に,アート好きな父と兄が始めたギャラリーを私も手伝うことにしました。人生が変わったのはそこからです。ギャラリーの仕事を始めて1年程して,京都芸大の教授も務めたアーティストの野村仁さんの個展を企画することになりました。その時,時間も何もかもを注ぎ込み,首尾一貫してモノづくりに取り組まれる野村さんの制作姿勢に衝撃を受け,まさにアートと呼ぶに相応しい作品を手掛ける作家と初めて出会ったと思いました。以後,そうした作家のサポートや社会と繋いでいくことこそ自分にとっての天職ではないかと考えるようになり,ギャラリー運営が私の真の意味での仕事になりました。ギャラリー運営は全て手探りで始めましたが,当初から数多くの素晴らしい作家に出会いました。その後1996年に夫の転勤に合わせてニューヨークに移り,現地ではアートマネジメントについて勉強しようと思い,ニューヨーク州立大学のアートマネジメントコースを履修し,大学内の小さな美術館でのインターン等も経験しました。2002年に帰国後,不景気の日本にもかかわらず,資本金を集めて会社を立ち上げ,現在のアートコートギャラリーをオープンさせて東奔西走。海外にも作品を売り出していきたかったので,海外のアートフェアにも参加し始めました。今では国内外の美術館や財団との取引,また大型作品の設置などの美術事業をインターナショナルに展開しています。今後については,もっともっと世界へ日本の作家を発信していきたいですし,ギャラリー運営とは別の活動として仲間と取り組んでいる「美術館へアートを贈る会※」の作品寄贈プロジェクトも継続していきたいと考えています。これは市民の方々から寄せられた寄付金で購入した美術作品を美術館に寄贈する取組で,この10年で5点の作品を各地の美術館に寄贈しています。アメリカ滞在時に現地の寄付文化を知ったことが原点であり,何らかの形で日本にも根付かせMessage受験生そして在学生へ京都芸大は,私が在籍していた頃と同じように,自由で多少のことなら許してもらえる伝統が今も続いている特殊な大学だと思います。各自が持ち合わせているアイデアやスキルを育てるための時間と場所,そしてそれをサポートしてくださる先生方が揃った恵まれた環境に4年間居ることができるわけですから,今後の進路を考えている皆さんには,是非ともそこに飛び込んで実りのある時間を過ごして欲しいと思います。在学生の皆さんに伝えたいことは,考えることもとても重要だと思いますが,とにかく勇気を出して作ってください。描いてください。こんなものを作っていいんだろうかと思わずに,何のてらいもなく制作に励んで欲しいです。学生時代は,将来に向かって自分自身がどのように成長を遂げていくのか未知の状態です。そんな時に経験する制作体験は皆さん自身の人生にも絶対プラスに働くと思います。とにかく描くこと,モノを作ることにチャレンジしてみてください。※美術館にアートを贈る会2004年に八木氏等が発起人となり設立。メンバーが選定した美術作品を所蔵者として相応しい美術館を見つけ,受入れを交渉し,協力者を募って皆で寄贈する取組を展開。2017年4月時点で5つ目のプロジェクトを実施中。卒業生インタビュー⑦八木光恵さんインタビュアー平田万葉(修士課程 工芸専攻(陶磁器)2回生*)山田 毅(修士課程 彫刻専攻2回生*)*取材当時取材日2016年12月2日取材場所アートコートギャラリー(大阪市)ることが出来ないかと考えていました。作品を自分たちが選び,買い上げることを通して美術館と市民の新しい,近しい関係を構築しましょうというコンセプトで取り組んでいますが,今後もこの活動は続けていきたいです。國府理 展「Parabolic Garden」(2010年,アートコートギャラリー)撮影:表恒匡学内の染織アトリエにて

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る