京都市立芸術大学 大学案内2018
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9インタビュアー松川 創(音楽学部 指揮専攻1回生*)*取材当時取材日2016年11月17日取材場所京都芸術センターMessage受験生そして在学生へ頑張ってみようと思っています。そうしたチャレンジが今後どんなチャンスにつながるか分かりませんからね。機会があればヨーロッパでも仕事をしてみたいですが,まずは目の前の仕事に集中して,とにかくよい現場にすることが第一だと思っています。います。人が少ない分,認知もされやすいから指揮者が必要な時に声もかかりますし,先生との関係も親密になります。増井先生には分奏や合奏の授業を通じて実践経験を積ませていただきましたし,学内のあちこちで指揮を振らせていただきました。その一方で曲の勉強が追い付かず,朝早くから図書館にこもって勉強する毎日でした。当時のスコアを見返してみると,何を書いているか分からない書き込みがいっぱいで面白いですよ。いかに悪戦苦闘していたかがよく分かります。自分の将来について2回生までは全く考えていませんでしたが,3回生になってから,この先自分がどうしたらよいのか分からなくなり悩みました。将来像は本当に白紙でしたから,大学を出てから東京に行こうかと考えてみたり,高校で非常勤講師を務めたりしましたが,このままでは終われないという想いから,もう一度自分自身と向き合う中で,西洋音楽発祥の地への憧憬が頭をもたげ,ヨーロッパに留学することに決めました。海外に留学し,現地での様々な経験を通して自分の世界は変わりましたし,価値観に広がりが出たと思います。留学先のスイスの大学では必ずリハーサルの様子をビデオに撮り,クラスでビデオセッションを行っていました。先生を交えて皆でビデオを見た感想を自由にディスカッションするんですが,緊張して震えながら指揮をしている様子が全て撮られていて,それを見るわけです。それはもう恥ずかしい限りで見たくもないけれど,見ないと仕方がない。言葉が出てこなくてどもっている様子や,真っ青になっている様子,あるいはもう全然演奏と合ってない様子とか。しかし,演奏者達は指揮者の全部を見ていますから,自分が気付きもしないところを指摘されたりします。しんどいことではありますが,自分の嫌なところを見て,そこから気付きを得る必要性を感じましたし,その経験は今に大きく生かされています。2015年のマタチッチ国際指揮者コンクールは海外留学中に参加を決めました。約130人が受け,予選を通過した1割の中に私も入ることが出来ました。初めて本選に進めたコンクールでしたから,これはなんとかしないといけないと思い,本選には無我夢中で臨み,結果は2位入賞でした。ただ,本当のことを言うと, 最終審査に残った段階で1位になれると思っていただけに悔しかった。でも2位になったからこそ気づいたことや学んだことが多かったので,自分にとっては良い結果だったと思っています。とはいえ,まだコンクールを受けられる年齢ですから,貪欲に上を狙っていきたいとは思っています。現在の活動拠点は基本的には日本ですが,コンクールや講習会,音楽祭でも構いませんが,日本にいても世界につながる仕事をしたいと思っています。留学してから各国のコンクール情報が入ってくるようになりましたから,年齢制限にひっかかるまでは高校時代,私はクラリネット専攻でしたし,受験勉強のスタートが遅かったこともあって,京都芸大に合格するとは思っていなかったんですが,しょげることなく思いっきり力を出したのが良かったんだと思います。受験生の皆さんは周りと比べることなく,入試では良いところも悪いところも全部出したら良いと思います。京都芸大は良くも悪くも競争意識が薄くて,のんびりしてはいますが,素晴らしい先生が多く在籍されていて恵まれた学校です。在学生の皆さんは,この有りがたさをいつも感じていて欲しいです。学生時代に真摯に音楽に打ち込んだ経験は,世の中に出た時に必ず役に立ちますから,一生懸命取り組んで欲しいですし,客演で来てくださる指揮者の先生たちからも多くのことを盗むつもりで取り組んでもらいたいですね。京都芸大は,ローカルで人が少ないけれど色濃い教育を受けられる場所ですから,受け身にならずにチャンスだと思って楽しむつもりでやってもらいたいです。卒業生インタビュー②粟辻聡さん大学2年生の時。管弦楽法オーケストラの本番で。

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