上智大学 大学案内2017
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世界の中の日本。日本の中の世界。姫野 英語は好きでしたが、大学では英語以外の言語をやろうと思いました。きっかけといえば、中学校のときにブラジル人の友人ができたんです。彼女の影響でポルトガル語に興味をもちました。と同時に、一緒にいると在日ブラジル人を取り巻くいろいろな問題も肌で感じるようになりました。日本語が不自由なために勉強がうまく捗らなかったり、外国人というだけでいじめにあったり。当時の私はそばで見ていて何もできず、はがゆい思いをしたことを思い出します。谷 姫野さんは、日本の中の世界に、まさに向き合っていますね。日本にいる外国人にはさまざまなパターンの人がいます。本国と行き来する人、そのまま日本にいる人。もちろん日本で生まれて育つ子もいる。彼らは二つの文化の中で育つわけですが、言語でいえば、ポルトガル語と日本語、どちらの運用能力も中途半端になってしまうこともあります。自覚されないことも多く、根深い問題です。姫野 ボランティアサークルの「パサレーラ・アルコイリス(虹の架け橋)」で、ブラジル人の子どもの学習支援のボランティアを行っています。子どもたちは普通に日本語を話せても、読み書きが不自由で、学校の勉強についていけないことで学習意欲が下がり不登校になる子もいるんです。谷 世界に出て行く人だけを「グローバル人材」と呼ぶのはおかしいと思っています。国内にも異文化はたくさんあります。国内での経験から日本に住む外国の子どもたちのよりよい未来、生活のために貢献したい学生が育っているというのは嬉しいですね。姫野 3年次に、演習科目「ブラジル社会研究」で、在日ブラジル人社会や日本におけるブラジル人コミュニティに関して研究しました。学んでいくうちに、逆にブラジルの日系社会、日系コミュニティについて知りたいという思いが湧き、また語学を極めたいということもあり、留学を決めました。これまで頑張ってきたポルトガル語を使えるのも楽しみです。谷 地域研究には関心のある地域やテーマを理解するためにさまざまな道具が必要ですが、その筆頭にあるのが地域で用いられている言語です。言語を学ぶことは、単に、文法や単語を覚えるだけでなく、その先にあるものへの想像力が不可欠です。ブラジル人の考え方をある意味で規定しているのは、ポルトガル語という言語ですから。言語を学ぶことを通じて、その裏側のロジックを発見するのが外国語を学ぶ過程で重要なんです。外国語学部が集中して言語の基本を叩き込むのは、それを使えるようになるためということもあるけれど、発想の源を鍛えるためでもあるんです。姫野 まだ実力不足ですが、いずれはポルトガル語を活かして、ブラジル人の子どもたちのために教育関係の仕事に就きたいと考えています。外国語学部長 イスパニア語学科教授谷 洋之メキシコの経済史・経済政策を中心としたラテンアメリカ経済が専門。主に、北米自由貿易協定(NAFTA)の下におけるメキシコ農業部門の新展開に関する研究、およびメキシコ革命体制下における国民経済建設構想の再構成に係わる研究に取り組んでいる。基礎教育に関しては、ラテンアメリカ経済論とイスパニア語を担当。ポルトガル語学科 4年姫野 ふたば大分県出身。趣味は温泉巡り。在日ブラジル人コミュニティや彼らを取り巻く教育問題に関心を持ち入学。授業やゼミを通して、ブラジルという国そのものに魅了される。現在はサンパウロ州立パウリスタ大学に留学中。外国語学部ポルトガル語学科ロシア語学科イスパニア語学科フランス語学科ドイツ語学科英語学科P.93P.95P.97P.99P.101P.10391

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