上智大学 大学案内2017
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言語能力は人類共通まず、「英語」能力というものはない、と聞くと多くの人は「え?」と思うかもしれませんね。同じように「日本語」能力というものもない。では何があるのかというと、そこには「英語環境で発達した先天的な言語能力」と「日本語環境で発達した先天的な言語能力」がある。つまり、人間にはもともと言語能力が備わっている。そもそも言語能力とは何かということについては、いくつかの仮説がありますが、人間が生まれてから最初に獲得する言語は、その言語環境が決定要因となり、それが母語です。ふたつの言葉を操れる人をバイリンガルといいますが、ひとりの人間の中に、ふたつの言語能力が別々にあるのではなく、特に一つの言語を習得した後で2番目の言語を獲得した場合、たとえはっきりと意識されていなくても、母語がなんらかのかたちで介在していると考えられています。母語が言語能力を発達させる つまり、日本語の運用能力が高い、ということは、言語能力そのものがよく発達している、ということですね。ではなぜ発達するのかというと「使う」からです。もし国語辞典をすべて暗記したとしても、それで日本語のコミュニケーションが上手くできるわけではない。難しい言葉をいくら知っていても、それをふさわしい文脈で適切に使えないのであれば、それは知らないのと同じことですから。文法や単語を知識として詰め込むだけでは、言語能力の発達につながらない。それを発達させる方法はただひとつ、使うこと、と覚えてください。その言葉を使う環境をつくる 発達した言語能力はあるのに、英語や外国語が苦手、という人は、もしかすると、言語を「知識」として考えているのかもしれません。日本語も英語も、あるいはどんな言語も、使わなければ上達しません。たとえば、英字新聞の記事を読むときに、語句の意味を調べて、和訳して終わり、ではなく、その内容を英語で要約して誰かに話せるように、あるいは書けるようにする。その記事と同じ内容を扱ったニュースの音声をインターネットで探して聴いてみる。実際に使うのがいちばんいいにせよ、それに近い環境、受動的ではなく能動的に外国語と向き合う環境を自分でつくることはできますね。上智の外国語教育 上智に入学すれば、言語教育研究センターで、さまざまなレベルに合わせた実践的な外国語教育を受けることになります。英語以外に21の言語のコースもあります。さらにさまざまな言語を母語とする2,000人近くの留学生もいるので、外国語を学ぶだけでなく、「使う」環境にも事欠かないといえるでしょう。しかしどんなに環境が整っていても、最後に物を言うのは学生自身の集中力と積極性。上智という新しい言語環境で、自分の言語能力をさらに高めることにチャレンジする多くの学生と逢えることを楽しみにしています。従来の一般入学試験方式に加え、TEAP(アカデミック英語能力判定試験)利用型の入学試験制度が導入されました。詳しくは、P.158へ英語が苦手という人に、話しておきたいこと。 言語教育研究センター長吉田 研作上智大学外国語学部英語学科卒業、同大学外国語学研究科言語学専攻修士課程修了。ミシガン大学大学院博士課程修了。専門は応用言語学。文部科学省などの外国語教育に関する各委員会に携わり、「英語が使える日本人」の育成に関する研究、活動を行っている。「TEAP」の開発者のひとり。自分の知を組み立てるために全学共通科目語学教育留学プログラム図書館グローバル社会対応教育28

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