一橋大学 大学案内2018
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法学部山部ゼミ「経済法・独占禁止法」24SeminarTheme:経済法・独占禁止法一橋大学法学部卒、一橋大学大学院法学研究科博士課程単位修得。日本学術振興会特別研究員を経て、1988年一橋大学法学部専任講師、1991年同助教授、1993年~1994年ドイツ・ミュンスター大学客員研究者(Gastwissenschaftler)、1997年一橋大学法学部教授。私の担当するゼミナールは、経済法という法分野を対象としています。具体的な法律名で言えば、独占禁止法がその中心となります。法律学は、大きく基礎法学と実定法学に分類されますが、経済法(学)は実定法学に属します。実定法学は、実際に通用している法律の解釈・運用について考察する学問です。もっとも、法律の解釈は、それほど簡単なものではありません。それは、法律学の知識のみならず、哲学、歴史学、政治学、経済学等の他の文科系の学問の知識、理科系の学問の知識、さらに自らの経験等を総動員して行う総合的・複合的な知的活動です。さて、皆さんは「競争」という言葉にどのような印象を持つでしょうか。「弱肉強食」、「格差拡大」等のネガティヴなイメージがあるかもしれません。しかし、企業の経済活動について言えば、「競争」は実に巧妙な仕組みです。「競争」があることによって、大企業であっても、ライバルや顧客からの牽制を受け、常に良質・廉価な商品・役務を提供する努力をしなければなりません。「競争」は、企業活動を適切に制御する有効な装置となります。経済法の中心となる独占禁止法は、「自由な競争」、「公正な競争」を維持・促進し、「競争」を人為的に阻害する様々な行為を規制する法制度です。ゼミナールでは、参加者に、この経済法・独占禁止法に関する具体的な事件(裁判例や審決例)について報告をしてもらい議論を行います。4年次の後半は、卒業論文の作成を行います。ゼミナールの参加者に期待することは、報告にせよ卒業論文にせよ、「研究」を行うことです。与えられた「お題」について自由作文を行うだけでは、「研究」にはなりません。先行する事件(先例)や研究成果をしっかり把握した上で、多少なりとも自らの個性・価値観を反映させたオリジナリティーのある知見と首尾一貫した説得力のある主張を展開することが重要となります。皆さんも、是非、「研究」の世界に足を踏み入れて下さい。自由で公正な社会を目指して法学部 山部ゼミ山部 俊文 教授 このゼミのテーマである「経済法」というのは、その名の通り経済にかかわる法律で、「独占禁止法」などが代表的なものです。 私は大学1,2年次に憲法や民法などについて学びましたが、社会人になって働くうえでもっと直接的に役立つものを学びたい、という(少し安易な)想いからこのゼミを選びました。そして実際に、独占禁止法は各企業が競争するうえでのルールを定めており、その裁判例には実在する企業名がよく出てきますので、(私個人としては憲法等よりも)楽しみながら学べています。 そんな堅くて難しそうなものを扱っていますが、このゼミの雰囲気はとても和やかで、そして先生が面白いです。山部先生は(私が言うのも失礼ですが)非常に博識な方で、学生からの質問にはその何倍もの量を返してくれるほどでありながら、性格はとても温厚で、ゼミではウィットに富んだコメントでよく学生を笑わせてくれます。 2016年11月撮影法学部4年 中村 圭吾

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